今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「原油価格再び急騰」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は159円台半ばまで緩やかに上昇。中東での混乱が続き、原油価格も上昇したことで、ドル円は159円43銭まで買われる。
  • ドル高の流れからユーロドルは、約4ヵ月ぶりとなる1.1510まで下落。
  • 原油高が続き、利下げ期待も大きく後退したことを受け、株式市場では3指数が揃って大幅に続落。ダウは739ドル下げ、節目の4万7000ドルの大台を割り込む。
  • 債券は続落。年内の利下げの可能性ゼロも織り込む動きから長期金利は4.26%台に上昇。
  • 金は続落。原油は再び大きく買われ95ドル台に。
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1月貿易収支 → −54.5b
新規失業保険申請件数 → 21.3万件
1月住宅着工件数 → 148.7万件
1月建設許可件数 → 137.6万件
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ドル/円 158.69 〜 159.43
ユーロ/ドル 1.1510 〜 1.1557
ユーロ/円 183.20 〜 183.67
NYダウ −739.42 → 46,677.85ドル
GOLD −53.30 → 5,125.80ドル
WTI +8.48 → 95.73ドル
米10年国債 +0.031 → 4.261%

本日の注目イベント

  • 欧 ユーロ圏1月鉱工業生産
  • 英 英1月鉱工業生産
  • 英 英1月貿易収支
  • 米 10−12月GDP(改定値)
  • 米 1月個人所得
  • 米 1月個人支出
  • 米 1月PCEデフレータ(前月比)
  • 米 1月PCEデフレータ(前年比)
  • 米 1月PCEコアデフレータ(前月比)
  • 米 1月PCEコアデフレータ(前年比)
  • 米 1月耐久財受注
  • 米 3月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
  • 米 1月雇用動態調査(JOLTS)求人件数

本日のコメント

昨日の東京時間朝方に159円台に乗せたドル円は、東京時間では介入警戒感からか、上値は重く、158円台後半まで押し戻されましたが、海外市場では再び上昇。159円台半ばまで「緩やかに」円が売られています。昨日のコメントでも書きましたが、足元の動きは決して「投機的な動き」ではなく、むしろファンダメンタルズを反映した動きとも言えます。今朝の日経新聞でも触れていましたが、「有事のドル買い」、「中東からのエネルギー依存度の高い日本だからこそ円売り」との構図です。また「過度の変動」でもありません。ドル円は「一歩後退・2歩前進」を繰り返しながらジリジリと上昇し、下値を切り上げています。通貨当局としても、介入を行う「大義」が見つからない状況かもしれません。ただ、それでも、160円前後1円のレベルが非常に注目される水準だと予想しています。

原油価格が再び上昇し、「ドル高、株安、債券安」を引き起こしています。トランプ大統領はSNSで、「イランの核兵器保有と脅威を阻止することが、原油価格よりもはるかに重要で関心が高い」と述べました。さらに、「米国は圧倒的に世界最大の産油国だ。だから原油価格が上がれば、われわれは多大な利益を得る」と投稿しました。一見、「米国は原油高には困らない」と言っている風にも受け取れます。また、イランの新たな最高指導者モジタバ・ハメネイ師は、4日前に父の後を継ぎ、最高指導者に就任して以来、初めて声明を発表しました。石油・ガスの海上輸送の要衝である「ホルムズ海峡閉鎖のレバーは引き続き、確実に利用される必要がある」と述べ、その上で、「敵にあまり経験がなく、極めてぜい弱な他の戦線を開くことについて、検証作業が始まっている。戦争状態が続けば、国益に従って、それを発動させる」とも語っています。声明では、米国が実行したとされる女子小学校空爆に対する復讐にも言及し、米国とイスラエルによる空爆が2週間近く続いているものの、イランが屈服には近づいていないことを示唆しています。

事実、ホルムズ海峡周辺での船舶への攻撃はここ数日激化しています。イラク沖で2隻の船舶が攻撃を受け、イラクの石油ターミナルは操業を停止しました。アラブ首長国連邦(UAE)の近くでも、コンテナ船が攻撃を受けています。イランはこのほか、クウェート国際空港などにもドローンで攻撃を仕掛けました。一方、イスラエルはイランに大規模な波状攻撃を再び実施。イスラエルのカッツ国防相は、親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノンに対する作戦を拡大する準備を進めていると明らかにしています。公式および非政府機関の統計によると、戦争開始以降に中東全体で約2500人が死亡したとの報道もあります。また、ブルームバーグは、「事情に詳しい関係者によると、米当局者は議員らに対し、対イラン戦争の最初の6日間にかかった費用は113億ドル(約1兆8000億円)余りだったと説明した。この額は、イラン戦争の費用の説明としてこれまでで最も具体的だ」と伝えています。

これら一連の動きを受けWTI原油価格は再び上昇基調を強め、NYマーカンタイル取引所では、前日比8.48ドル(9.7%)高の95.73ドルで取引を終え、北海ブレントも100ドルの大台まで買われています。ただ一方で、ライト米エネルギー長官は12日、米海軍が今月末までにホルムズ海峡でタンカーの護衛を開始する可能性があるとの考えを示しました。ライト氏は、「比較的近いうちに実施されるだろうが、今すぐにはできない。単に準備が整っていない」と述べ、月末までに護衛が実施される可能性について問われると、「かなりあり得ると思う」と答えています。また長官はCNNに対して、対イラン戦争を受けて「原油価格が1バレル200ドルに跳ね上がる公算は小さい」と発言。「供給よりも心理的要因の影響の方が大きい短期的な取引について推測することはしない」と述べていました。原油価格の高騰に、日本でもガソリン価格を引き上げる動きが相次ぎ、筆者は昨日のNHKで、レギュラーガソリン1ℓの価格を「196円」に引き上げられた映像を見ました。物流コストは間違いなく上昇します。

足元では、労働市場の鈍化による「追加利下げ」よりも、「原油価格上昇によるインフレ懸念」の方が、市場によりインパクトを与える動きが続き、金利先物市場では「年内の利下げ回数はゼロ」を示唆する動きとなっています。

本日のドル円は158円50銭〜160円50銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 --------
2/26 高田・日銀審議委員 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。
2/24 グールズビー・シカゴ連銀総裁 (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 --------
2/24 コリンズ・ボストン連銀総裁 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 --------
2/17 グールズビー・シカゴ連銀総裁 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 --------
2/11 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 --------
2/10 ローガン・ダラス連銀総裁 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 --------
2/10 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 --------
2/5 ECB声明 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 --------
2/5 ラガルド・ECB総裁 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 --------
2/3 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 --------
2/3 ミラン・FRB理事 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 --------
2/2 ボスティック・アトランタ連銀総裁 (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和