「トランプ氏、ホルムズ海峡解放しなければイラン施設を攻撃」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- 前日157円台半まで売られたドル円は、イラン情勢が一段と混迷度を増し、原油価格が100ドルに迫ったことで再び上昇。159円台に乗せ、159円32銭まで買われる。
- ユーロドルは1.15台に反発し、1.1579まで上昇。
- 株式市場は3指数が揃って大きく続落。ナスダックは443ポイント売られ、およそ半年ぶりの安値に。
- 債券は続落し、長期金利は4.38%台に上昇。
- 金は3日続落。原油は買われ98ドル台に。
| ドル/円 | 158.53 〜 159.39 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1525 〜 1.1579 |
| ユーロ/円 | 183.43 〜 184.25 |
| NYダウ | −443.96 → 45,577.47ドル |
| GOLD | −30.80 → 4,574.90ドル |
| WTI | +2.18 → 98.32ドル |
| 米10年国債 | +0.130 → 4.380% |
本日の注目イベント
- 欧 ユーロ圏3月消費者信頼感指数(速報値)
本日のコメント
「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ」・・・・。19日のホワイトハウスでの日米首脳会談で高市首相はこのように「歯の浮くような」言葉を使って、トランプ大統領を持ち上げました。身内でもこれほどの美辞麗句で称賛してくれる人はいないのではないかと思えるほどでした。しかも通常は、「President Trump」と呼ぶところ、「ドナルド」と、トランプ氏をファーストネームで呼ぶことで、自らとトランプ氏との関係の強さをアピールしていました。ホルムズ海峡への艦艇派遣では、ことごとく欧州各国から断られたトランプ氏にとっても力強い言葉ではなかったかと思います。事実、トランプ氏も「日本はNATOとは違う」と何度も述べていました。気になったのは、高市氏は「中東情勢を緩和できる提案を持ってきた」といった言葉をトランプ氏に投げていました。具体的な内容は明らかになっていませんが、どんな方法があるのか、早く明らかにしてほしいものです。今回の日米首脳会談は、イラン情勢がますます悪化する中、おそらくトランプ氏にとっても、イランが「想定外の抵抗」を見せていることから、日本に対して厳しい要求をしてくるのではないかとの見方もありました。「日本には法的に出来ることと、出来ないことがある」との説明には理解を示してくれたようで、その意味では「まずまずだった」という評価のようです。因みに、その後のレセプションの席では、トランプ氏の右に高市氏が座り、左側にはソフトバンクグループの孫氏が座っていたことにも驚きました。この辺りは、今日のウィークリーレポート(今週の予想レンジ)でも触れてみたいと思います。
先週18日には159円90銭まで上昇し、160円にも手の届く水準まで買われたドル円でしたが、翌日のNYでは157円台半ばまで下げました。しかし、イラン情勢が一段と悪化してきたことで再び159円台まで反発しています。米長期金利が一段と上昇し、WTI原油価格も100ドルに迫っています。米金融政策に関して、一部には「年内利上げ」の可能性を予想する声もありました。そして昨日はさらに緊張が高まって来ました。イランへの攻撃を行った日から4週間目に入りましたがトランプ大統領は21日、航行再開に向けて48時間の最後通告を発し、「海峡を開放しなければイランの発電所を攻撃する」と投稿しました。投稿は米東部時間21日午後7時44分(日本時間22日午前8時44分)ですから、まもなく24時間が経過します。通航再開が難航し、原油高の抑制に苦戦する中、トランプ氏のいら立ちが強まっていることがうかがえます。イラン軍はトランプ氏の威嚇を受けて声明を出し、「地域の米国およびイスラエルのエネルギー、IT、海水淡水化インフラのすべてを標的にする」と警告しています。ペルシャ湾と外洋を結ぶ細い回廊であるホルムズ海峡は、先月末の米国・イスラエルによる攻撃開始以降、ほぼ封鎖状態です。平時には世界の海上石油取引の約4分の1を担う要衝です。しかしここ数週間は、通航した船舶はごくわずかにとどまり、中国船やイラン関連、あるいはイランの保護下にある船が中心となっています。
もっとも、イランに関する情報はやや錯綜しており、これに先立ちイラン側はホルムズ海峡通過に金銭を徴収する案を提案しているとの話もあります。また、トランプ氏はイランへの地上部隊派遣も排除しないと強気な姿勢を見せる一方で、対イラン軍事行動の「縮小」を検討しているといった情報も伝えられています。ベッセント財務長官はNBCの番組で、米国の目標達成に向けてトランプ氏は「あらゆる手段を講じる」と発言。これにはイランの空軍および海軍の破壊、核兵器保有能力の阻止、「国際的な影響力行使能力の排除」が含まれると発言しています。また、「海峡沿いのイランの防御施設を弱体化させるため、軍事資産を用いた作戦が展開されている。それらが完全に破壊されるまで作戦は継続される」と指摘し、「緊張を緩和するためには、時にエスカレートさせる必要がある」と語っていました。
米国がイランの発電所を攻撃するようなことになれば、イラン側の反撃も必至で、WTI原油価格が100ドルを超える可能性が高いと予想されます。円もさらに売られると思われますが、原油価格の高騰はドルの需給面でも変化が出ることになります。同じ量を輸入しても60ドルと100ドルでは6割以上のドル資金が必要になるからです。それがさらに円安を加速させ、輸入物価を押し上げるといった「負の連鎖」に陥る危険性もあります。現時点では「Ceasefire」のみが原油価格を押し下げる特効薬です。
本日も株価の大幅下落は避けられないところで、ドル円は158円20銭〜160円20銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 3/18 | パウエル・FRB議長 | 「経済への潜在的な影響が及ぶ範囲や期間を把握するには時期尚早だ」、「強調したいのは、誰にも分からないということだ」、「利下げを再開するにはインフレ鈍化の進展を確認する必要がある」と強調。「特に、関税によって押し上げられてきた財のインフレ減速が重要だ」、「その進展が見られなければ、利下げはないだろう」、(自身の進退に関し)、「FRB本部の改修工事を巡る司法省の調査が完全に終結するまで、理事として辞任するつもりはない」、「エネルギー価格の上昇によるインフレへの影響は一時的だ」、「金融当局は通常利上げを行わない」と説明。「ただしこの対応は、インフレ率が長期的にFRBの目標である2%前後に収束するとの期待が維持されることを前提としている。米国のインフレ率は5年間にわたり2%目標を上回っている」 | 株式と債券が売られ、ドル円は159円90銭まで上昇。 |
| 3/18 | FOMC声明文 | 「中東での戦争に伴う経済への影響が不確実だ」、「委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 | -------- |
| 3/15 | ライト・エネルギー長官 | 「この紛争は今後数週間で確実に終わると考える。それより早まる可能性もある」、(原油は)「その後は供給が回復し、価格は押し下げられるだろう」 | -------- |
| 3/15 | ハセット・NEC委員長 | この任務の完了には4−6週間を要するが、予定より早いペースで進んでいると、国防総省が14日時点でみていた」、「戦争の終結時期を最終的に決めるのはトランプ大統領だ」、「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きると予想している」 | -------- |
| 3/15 | アラグチ・イラン外相 | 「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」、「勝利の見込みのない違法な戦争を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続ける」 | -------- |
| 3/14 | トランプ大統領裁 | 「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」、「非常に強固な合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要がある」 | -------- |
| 3/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 | -------- |
| 3/3 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 | -------- |
| 3/3 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 | -------- |
| 3/2 | 氷見野・日銀副総裁 | 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 | -------- |
| 2/24 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「予測されているようなインフレの進展が確認できている限り、年内に金利をあと数回引き下げることが可能との自信をある程度持っている。インフレがわれわれの望む水準に戻りつつあるという証拠が実際に得られる前に、利下げをあまり前倒しで進めたくない」 | -------- |
| 2/26 | 高田・日銀審議委員 | 「既に賃金と物価が上がらないというノルムは解けており、物価安定の目標実現がおおむね達成した局面」、「日本経済は真の夜明けが視野に入った」とし、「金融政策は幅広いデータや情報から緩和度合いを丁寧に確認しながら、「段階的にギアシフトを行っていく途上にある」、(先行きは海外を中心に物価上昇要因が生じた場合)、「日本でも物価が予想以上に上振れするリスクも念頭に置く必要がある」 | ドル円156円台前半から155円70銭まで下落。 |
| 2/24 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | (連邦最高裁がトランプ大統領による広範な関税措置の多くを無効とした判断について)、「企業にさらなる不確実性をもたらす恐れがある一方で、インフレ抑制につながる可能性もあると」 | -------- |
| 2/24 | コリンズ・ボストン連銀総裁 | 「労働市場は、少なくともある種の異例な安定性の兆しをさらに示している」、「インフレ率が2%に向けて低下していることを示すさらなる証拠が必要だ」、「現行レンジをしばらく維持することが適切となる可能性はかなり高いと考えている。過去1年半で175ベーシスポイントの緩和を実施し、現在は緩やかな景気抑制的水準にあり、おそらく中立にかなり近い水準にすでに達している」 | -------- |
| 2/17 | グールズビー・シカゴ連銀総裁 | 「サービス分野のインフレ率が依然として高止まりしている」、「関税に伴う価格上昇が一時的なものであれば、政策当局に行動の余地が生まれる可能性がある」、「これが一時的なものであり、インフレ率が2%へ戻る道筋にあることが確認できれば、2026年に追加利下げが複数回実施される可能性があると考えている。ただ、それを見極める必要がある」 | -------- |
| 2/11 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | 「追加利下げを実施すれば、高インフレをさらに長期化させるリスクがあるというのが私の見解だ」、「金利は依然として景気に一定の圧力をかけているはずだが、必ずしもそうなっていない可能性がある。成長に勢いが見られ、インフレが依然として高水準にある中、景気が抑制されている兆候はあまり見当たらない」、「物価圧力は続いており、経済の多くの分野で需要が供給を上回っていることを示している。AIなどの新たな技術革新が将来的に生産性の伸びを高め、インフレを加速させることなく経済成長を可能にする可能性はあるが、まだその段階には至っていない」 | -------- |
| 2/10 | ローガン・ダラス連銀総裁 | 「労働市場に新たな顕著な弱さが示されない限り、金利を据え置くべきだ」 | -------- |
| 2/10 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「フェデラルファンド(FF)金利の微調整を試みるよりも、最近の利下げの影響を見極め、経済動向を注視する中では、辛抱強く対応する方が望ましい」、「私の見通しに基づけば、政策金利はかなりの期間、据え置かれる可能性がある」 | -------- |
| 2/5 | ECB声明 | 「経済は厳しい世界環境の中でも底堅さを保っている」、「特に世界の貿易政策を巡る不確実性や地政学的緊張が続いているため、見通しは依然として不透明だ」 | -------- |
| 2/5 | ラガルド・ECB総裁 | 「金融政策のスタンスは今のところ適切だ」、(今回の政策委員会会合でユーロの為替レートについても協議したことを明らかにし)、「ECBは特定の為替レートを目標にしていない」、「ユーロ高が現在の見通し以上にインフレを押し下げる恐れがある」、「インフレ見通しに対するリスクはほぼ均衡しており、ユーロのドルに対する現在のレンジは、これまでの平均的な水準にほぼ一致する」 | -------- |
| 2/3 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「インフレを目標に戻すための最後の1マイルを進む中、これらの利下げは労働市場を支える保険をかけたようなものだと考えている」、「不確実性の後退とともに経済見通しは改善しているとする一方で、人員採用が一部の業種に集中している」、「インフレ率がなおFRBの目標である2%を上回っていることなど、リスクは残っている」 | -------- |
| 2/3 | ミラン・FRB理事 | 「年内を通じて1ポイントをやや上回る規模の利下げを見込んでいる」、「基調的なインフレ率を見ると、経済に非常に強い価格上昇圧力が存在しているとは思えない」、「金融政策を講じなくてはならないような、強い需給の不均衡もあまり見られない。実際の物価上昇圧力そのものというより、主としてインフレの測定方法に伴う特異性によって、金利が過度に高い水準に維持されていると考えている」 | -------- |
| 2/2 | ボスティック・アトランタ連銀総裁 | (自身は利下げを)「1回も見込んでいない」、「経済には非常に強い勢いがあるため、政策金利はやや引き締め的な水準に維持する必要がある。多くの企業の足元のリターンや利益を見ると、現在の金融政策スタンスが極めて、あるいは非常に強く引き締め的だと主張するのは難しい」、「私の見通しでは、利下げを1回ないし2回行えば恐らく中立水準になるだろう。だが、そうすればインフレ率を目標まで引き下げることはもちろん、その軌道に乗せることさえも極めて難しくなる」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



