「ドル円一時157円台後半まで下落」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ドル円はアジア、欧州市場で円が買い戻された流れを受け、NYでは朝方157円89銭までドルが下落。その後はやや買い戻され158円台半ばで取引を終える。
- ユーロドルも急伸。およそ1ヵ月ぶりに1.1721まで上昇。
- 株式市場では3指数が揃って大幅に上昇。エネルギー以外は全てのセクターで買われ、ダウは1300ドルを超える上昇。
- 債券は買われたが、その後売りに押され前日比小幅高。長期金利は4.29%台で推移。
- 原油はアジア時間の早朝から急落。一時は92ドル台まで売られ、NYでは94ドル台で推移。
| ドル/円 | 157.89 〜 158.79 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1644 〜 1.1721 |
| ユーロ/円 | 184.73 〜 185.22 |
| NYダウ | +1325.46 → 47,909.92ドル |
| GOLD | +92.50 → 4,777.20ドル |
| WTI | −18.54 → 94.41ドル |
| 米10年国債 | −0.002 → 4.291% |
本日の注目イベント
- 独 独2月貿易収支
- 独 独2月鉱工業生産
- 米 10−12月GDP(確定値)
- 米 新規失業保険申請件数
- 米 2月個人所得
- 米 2月個人支出
- 米 2月PCEデフレータ(前月比)
- 米 2月PCEデフレータ(前年比)
- 米 2月PCEコアデフレータ(前月比)
- 米 2月PCEコアデフレータ(前年比)
本日のコメント
ホルムズ海峡を解放しなければ、イランに対して大規模な攻撃を行うとした期限のおよそ1時間半前のことでした。「トランプ氏、攻撃延長に合意!」との速報が入って来ました。それをきっかけにWTI原油価格が急速に下げ足を速め、東京時間中には92ドル台まで急落しました。筆者は7日のコメントにも書きましたが、イランへの大規模な攻撃は何らかの理由で回避される可能性が高いと予想していました。
ブルームバーグは、トランプ大統領が停戦合意にあたってSNSに投稿した全文を伝えています。トランプ氏は「パキスタンのシャリフ首相およびムニール元帥と協議し、私が今夜イランに対して予定していた破壊的な軍事行動の停止について両氏から要請があったことを受け、イランがホルムズ海峡の完全かつ即時、安全な再開に同意することを条件に、イランへの爆撃と攻撃を2週間停止することに同意する。これは双方による停戦となる!この決定の理由は、われわれが既に全ての軍事目標を達成し、それを上回る成果を得ているほか、イランとの長期的な平和、中東の平和に関する最終合意に向けて大きく前進していることにある。イランからは10項目の提案を受け取っており、交渉の基盤として機能すると考えている。過去のさまざまな争点のほぼ全てについて、米国とイランの間で合意に達しているが、2週間の期間によって合意の最終化と履行が可能になるだろう。米大統領として、また中東諸国を代表する立場として、この長年の問題が解決に近づいていることを光栄に思う。本件にご関心をお寄せいただき感謝する!」と書いていました。
問題は、この2週間の協議を経て、イラン戦争は本当に終結するのかどうかという点です。ひとまず2週間の停戦では合意したものの、最大の焦点は「核開発問題」で米国とイランが合意するかどうかだと思います。バンス副大統領率いる米代表団はパキスタンのイスラマバードに向かい、初回協議は現地時間11日午前に実施される予定です。しかし、停戦合意にはすでにほころびも出ています。ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、「8日にホルムズ海峡を通過してペルシャ湾から出た船はわずか3隻で、このうち一部はイラン関連の船舶だった。同日午後には、レバノンでイスラエルの攻撃があったため、タンカーの通航は引き続き許可されないとイランのメディアが報じた。昨年の平時には1日約135隻が同海峡を通航していた」と伝えています。イランのアラグチ外相はSNSへの投稿で、「イランと米国の停戦条件は明確だ。米国は選択しなければならない――停戦か、イスラエルを通じた戦争継続か。両方を同時に取ることはできない」と述べています。イスラエルは今回の合意にレバノンは含まれないとの立場で、レバノンの親イラン民兵組織ヒズボラと戦闘を続けています。イスラエルのネタニヤフ首相は8日、「停戦はレバノンに適用されない」と述べていましたが、この認識はイランと仲介国パキスタンと食い違っているようです。イランのタスニム通信によると、イスラエルによるレバノン攻撃を受け、「イランは攻撃が続けば合意から離脱すると警告した」と報じられています。
WTI原油価格が7日のNYの高値である117ドル63セントから、わずか一日で25ドル(21%)程下げたことで、円が買い戻され、株式市場は急騰。金も買われるなど、これまでの流れの巻き戻しが一気に吹き上がりました。ただそれでも、2月28日に米国とイスラエルがイラン攻撃に踏み切る前の67ドル前後まで原油価格が低下するのには、相当な月日が必要かと思います。生産設備の損壊、産油国の減産体制に加え、今回の「オイルショック」の教訓から各国が備蓄量を増やすことは必至だろうと思えるからです。そうなると、ドル円もここから大きく下落する可能性はそれほど高くはありません。
3月17−18日開催のFOMC議事要旨によると、イラン戦争の勃発を受けた米経済の先行きについて、利下げもしくは利上げが必要になるという、大きく異なるシナリオを巡り、金融当局が判断に苦慮していたことがうかがえました。 またイラン戦争がインフレを押し上げかねないとの懸念が広がっており、利上げの検討が必要になる可能性を会合後に明確に打ち出すべきだとの意見が増えていたことも明らかになりました。「大部分の当局者は戦争が労働市場に悪影響を及ぼし、利下げが必要となる可能性を懸念していた。一方で、多くの当局者がいずれ利上げが必要となり得るインフレリスクに言及した。後者のグループはより強硬な姿勢を見せているもようで、特定の条件下で利上げを行うシナリオを盛り込んだ文言を検討するよう促した」(ブルームバーグ)とありました。 先週発表された「3月の雇用統計」では、労働市場の減速が確認できなかったことで利下げ観測がやや後退。FOMCメンバーはよりインフレの動向に集中できそうです。
本日のドル円は157円50銭〜159円30銭程度を予想します。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/6 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 | -------- |
| 3/30 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ期待は、短期を超えてしっかり安定しているようだ」、「紛争の影響に対応する必要が生じる可能性はあるが、現時点ではその段階には至っていない」、「経済への影響がどうなるかは分からない」、「金融政策は様子見が可能な良い位置にあると考えている」、「供給ショックは通常は重視しない傾向があり、その際に極めて重要なのはインフレ期待を注意深く監視することだ」 | 債券と株が買われ、金利は低下。 |
| 3/27 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米国が石油の純輸出国であるため、理論上は限定的にとどまる」、「ただ、ガソリン価格は目に見えやすく、消費者心理を冷やす可能性があるほか、航空運賃や貨物輸送、物流コストにも影響が及ぶ可能性がある」 | -------- |
| 3/27 | ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 | 「燃料価格や肥料価格の上昇がインフレ期待に波及するスピードが速まり、かつ持続性もやや高まるリスクが少し強まっている」、「それを懸念している」、「こうしたショックが持続的なインフレに転じるためには、それを持続させるメカニズムが必要だ」と指摘。「賃金設定の面では、現時点でそれを引き起こすような強い動きは見られない」 | -------- |
| 3/23 | デーリー・SFシスコ連銀総裁 | 「不確実性の下では最も可能性の高い単一の道筋は存在しない。 経済には少なくとも二つの可能性のある道筋がある。 中東の紛争が早期に解決すれば、石油やエネルギー価格は低下し、米経済への影響は短期的で限定的にとどまる。一方、紛争が長期化すれば、エネルギー供給の混乱とそれに伴うコスト圧力が持続し、インフレ上振れや成長鈍化、労働市場の弱体化といったリスクが高まる可能性がある」 | -------- |
| 3/23 | グールズビー・シカゴ銀総裁 | 「インフレが落ち着けば、今年中に複数回の利下げを行う状況に戻る可能性もある。もし状況が異なる方向に進み、インフレが制御不能になった場合、利上げが必要になる状況も想定できる」 | -------- |
| 3/18 | パウエル・FRB議長 | 「経済への潜在的な影響が及ぶ範囲や期間を把握するには時期尚早だ」、「強調したいのは、誰にも分からないということだ」、「利下げを再開するにはインフレ鈍化の進展を確認する必要がある」と強調。「特に、関税によって押し上げられてきた財のインフレ減速が重要だ」、「その進展が見られなければ、利下げはないだろう」、(自身の進退に関し)、「FRB本部の改修工事を巡る司法省の調査が完全に終結するまで、理事として辞任するつもりはない」、「エネルギー価格の上昇によるインフレへの影響は一時的だ」、「金融当局は通常利上げを行わない」と説明。「ただしこの対応は、インフレ率が長期的にFRBの目標である2%前後に収束するとの期待が維持されることを前提としている。米国のインフレ率は5年間にわたり2%目標を上回っている」 | 株式と債券が売られ、ドル円は159円90銭まで上昇。 |
| 3/18 | FOMC声明文 | 「中東での戦争に伴う経済への影響が不確実だ」、「委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 | -------- |
| 3/15 | ライト・エネルギー長官 | 「この紛争は今後数週間で確実に終わると考える。それより早まる可能性もある」、(原油は)「その後は供給が回復し、価格は押し下げられるだろう」 | -------- |
| 3/15 | ハセット・NEC委員長 | この任務の完了には4−6週間を要するが、予定より早いペースで進んでいると、国防総省が14日時点でみていた」、「戦争の終結時期を最終的に決めるのはトランプ大統領だ」、「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きると予想している」 | -------- |
| 3/15 | アラグチ・イラン外相 | 「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」、「勝利の見込みのない違法な戦争を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続ける」 | -------- |
| 3/14 | トランプ大統領裁 | 「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」、「非常に強固な合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要がある」 | -------- |
| 3/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 | -------- |
| 3/3 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 | -------- |
| 3/3 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 | -------- |
| 3/2 | 氷見野・日銀副総裁 | 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



