今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

「ホルムズ海峡再封鎖」

ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場
  • ドル円は急落。ホルムズ海峡が解放されるとのニュースで原油価格が急落したことを受け、3月20日以来となる157円59銭までドルが売られる。
  • ユーロドルでもドルが売られ、ユーロは1.1849まで上昇。
  • 株式市場では3指数が大幅に続伸。ナスダックは13連騰し、S&P500とともに最高値を更新。
  • 債券も買われ、長期金利は4.24%台に低下。
  • 金は反発。原油は大きく下げ83ドル台に。
ドル/円 157.59 〜 159.18
ユーロ/ドル 1.1761 〜 1.1849
ユーロ/円 186.29 〜 187.65
NYダウ +868.71 → 49,447.43ドル
GOLD +71.30 → 4,879.60ドル
WTI −10.84 → 83.85ドル
米10年国債 −0.063 → 4.248%

本日の注目イベント

  • 独 独3月生産者物価指数
  • 加 カナダ3月消費者物価指数

本日のコメント

停戦協議に向け、米国とイランの駆け引きが続いています。

イランがホルムズ海峡を解放するとのニュースで、先週末金曜日のNYでは停戦期待からWTI原油価格が急落。これに伴ってドル円はおよそ1ヵ月ぶりに157円59銭まで下落しました。債券が買われ、金利が急低下したことでドル売りが加速しました。株式市場でも主要3指数が大きく買われ、ナスダックはこれで「13連騰」。S&P500とともに最高値を更新しています。出遅れ気味のダウも5万ドルの大台回復が視野に入ってきたと思われますが、米国とイランとの恒久的な停戦への道のりにはまだ紆余曲折も予想され、依然として不透明だと思われます。両国とも、戦争を終わらせたいとの考えは十分持っていると思われますが、その終わらせ方が問題のようです。「戦争は、始めるのは簡単だが、終わらせるのが難しい」という言葉が、あらためて思い起こされます。

イランは18日、前日の全面解放宣言から一転して海上輸送の要衝であるホルムズ海峡を再び封鎖しました。イランが海峡解放と関連付けていたイスラエルとレバノンの停戦でもほころびが生じており、トランプ大統領が間近に迫っていると主張するイランとの和平合意の先行きに影を落としています。イランのペゼシュキアン大統領の報道官は、「度重なる信頼の裏切りと、この大きな譲歩がプロパガンダ目的に悪用されたことを受け、海峡は再び封鎖された」と声明で述べ、米海軍がオマーン湾でイラン船籍の貨物船を拿捕したことがその理由の一つと見られます。トランプ氏は19日の投稿で、米海軍のミサイル駆逐艦が「オマーン湾でTOUSKAを阻止し、停船するよう正当な警告を与えた」と説明。「イラン人の乗組員は従わなかったため、米海軍の艦船が機関室に穴を開けてその場で動きを止めた。現在、米海兵隊が当該船舶を拘束している」と書き込みました。

さらに、イスラエルとレバノンでの停戦にも不安定化の兆しが出ています。イスラエルは19日、南レバノンで「テロリスト集団」を攻撃したと発表しています。ホルムズ海峡の再封鎖発表後、イランのガリバフ議長は「敵のあらゆる努力は、自らの要求を押し付けることに向けられていた。自国の権利を正式に確立し、確保することが重要だ」とした上で、「われわれだけが義務を果たし、相手が果たさないということはあり得ない。合意に至るなら、双方が並行して一歩を踏み出す必要がある」と述べていました。ホルムズ海峡の再封鎖に伴い、ブルームバーグがまとめた航跡データによると、19日はロンドン時間午後早い時点で、ホルムズ海峡を通航した船は確認されていないと報告されています。18日には少なくとも13隻の石油タンカーがペルシャ湾側へ引き返したようです。イランのアラグチ外相が17日に海峡解放を表明したことを受け、湾内からの脱出を試みる動きが見られましたが、断念し、引き返したことが確認されています。

ただ、それでもトランプ大統領は19日、イランとの2回目の協議を週内にイスラマバードで早期開催する意向を表明しています。一方、協議が不首尾に終わった場合はイランの全ての発電所と橋を攻撃すると、あらためて武力行使を行うと述べています。ホワイトハウスは、バンス副大統領とウィトコフ特使、クシュナー氏が20日夜にイスラマバードに向かい、21日の協議に臨む予定だと発表していますが、イラン側は協議参加について明確な意思を示していません。準国営タスニム通信は、米国による海上封鎖が続く限り、協議には応じない方針だと報じています。トランプ氏はこの日朝早く、「われわれは非常に公正で合理的な取引(DEAL)を提示している。彼らがそれを受け入れることを望む。応じなければ、米国はイラン国内の全ての発電所と全ての橋を破壊する」と、あらためてソーシャルメディアに投稿しました。米国・イラン間の停戦期間は21日に期限を迎えることとなり、残された時間は多くありません。お互いの主張にもまだ隔たりがあり、果たして残された2日間で停戦合意に至るのか予断を許しません。恒久停戦に至らなくとも、停戦期間の延長は期待できるかもしれません。最新の情報では、米国はイランに対し新しい「合意案」を提示した模様で、その内容は明らかになってはいませんが、「トランプ氏は、イランが重大な停戦違反を犯したと述べる一方で、和平合意は依然として可能だとの認識を示した」とABCニュースが伝えています。

先週末は、ホルムズ海峡解放のニュースを受け157円台半ばまで売られた後、158円60銭前後で取引を終えたドル円でしたが、今朝は同海峡再封鎖の報で窓を開け、159円前後で推移しています。83ドル台まで下げた北海ブレントも再び97ドル台まで急反発しています。

本日のドル円は157円70銭〜159円70銭程度を予想します。

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What's going on?

What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
日時 発言者 内容 市場への影響
4/6 ハマック・クリーブランド連銀総裁 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 --------
3/30 パウエル・FRB議長 「インフレ期待は、短期を超えてしっかり安定しているようだ」、「紛争の影響に対応する必要が生じる可能性はあるが、現時点ではその段階には至っていない」、「経済への影響がどうなるかは分からない」、「金融政策は様子見が可能な良い位置にあると考えている」、「供給ショックは通常は重視しない傾向があり、その際に極めて重要なのはインフレ期待を注意深く監視することだ」 債券と株が買われ、金利は低下。
3/27 バーキン・リッチモンド連銀総裁 「米国が石油の純輸出国であるため、理論上は限定的にとどまる」、「ただ、ガソリン価格は目に見えやすく、消費者心理を冷やす可能性があるほか、航空運賃や貨物輸送、物流コストにも影響が及ぶ可能性がある」 --------
3/27 ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 「燃料価格や肥料価格の上昇がインフレ期待に波及するスピードが速まり、かつ持続性もやや高まるリスクが少し強まっている」、「それを懸念している」、「こうしたショックが持続的なインフレに転じるためには、それを持続させるメカニズムが必要だ」と指摘。「賃金設定の面では、現時点でそれを引き起こすような強い動きは見られない」 --------
3/23 デーリー・SFシスコ連銀総裁 「不確実性の下では最も可能性の高い単一の道筋は存在しない。 経済には少なくとも二つの可能性のある道筋がある。 中東の紛争が早期に解決すれば、石油やエネルギー価格は低下し、米経済への影響は短期的で限定的にとどまる。一方、紛争が長期化すれば、エネルギー供給の混乱とそれに伴うコスト圧力が持続し、インフレ上振れや成長鈍化、労働市場の弱体化といったリスクが高まる可能性がある」 --------
3/23 グールズビー・シカゴ銀総裁 「インフレが落ち着けば、今年中に複数回の利下げを行う状況に戻る可能性もある。もし状況が異なる方向に進み、インフレが制御不能になった場合、利上げが必要になる状況も想定できる」 --------
3/18 パウエル・FRB議長 「経済への潜在的な影響が及ぶ範囲や期間を把握するには時期尚早だ」、「強調したいのは、誰にも分からないということだ」、「利下げを再開するにはインフレ鈍化の進展を確認する必要がある」と強調。「特に、関税によって押し上げられてきた財のインフレ減速が重要だ」、「その進展が見られなければ、利下げはないだろう」、(自身の進退に関し)、「FRB本部の改修工事を巡る司法省の調査が完全に終結するまで、理事として辞任するつもりはない」、「エネルギー価格の上昇によるインフレへの影響は一時的だ」、「金融当局は通常利上げを行わない」と説明。「ただしこの対応は、インフレ率が長期的にFRBの目標である2%前後に収束するとの期待が維持されることを前提としている。米国のインフレ率は5年間にわたり2%目標を上回っている」 株式と債券が売られ、ドル円は159円90銭まで上昇。
3/18 FOMC声明文 「中東での戦争に伴う経済への影響が不確実だ」、「委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 --------
3/15 ライト・エネルギー長官 「この紛争は今後数週間で確実に終わると考える。それより早まる可能性もある」、(原油は)「その後は供給が回復し、価格は押し下げられるだろう」 --------
3/15 ハセット・NEC委員長 この任務の完了には4−6週間を要するが、予定より早いペースで進んでいると、国防総省が14日時点でみていた」、「戦争の終結時期を最終的に決めるのはトランプ大統領だ」、「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きると予想している」 --------
3/15 アラグチ・イラン外相 「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」、「勝利の見込みのない違法な戦争を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続ける」 --------
3/14 トランプ大統領裁 「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」、「非常に強固な合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要がある」 --------
3/3 ウィリアムズ・NY連銀総裁 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 --------
3/3 シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 --------
3/3 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 --------
3/2 氷見野・日銀副総裁 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 --------
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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和