「WTI原油価格89ドル台に」
ひと目で分かる昨晩の動き
NY市場- ホルムズ海峡の再封鎖の報道に159円台前半まで買われたドル円だったが、その後は円が買われる展開に。NYでは158円55銭まで下落。
- ユーロドルは1.17台半ばから後半で小動き。
- 株式市場では3指数が揃って反落。ナスダックは14営業日ぶりに下落。
- 債券は小幅に売られ、長期金利は4.25%台で推移。
- 金は反落し、原油は5ドル以上の上昇。
| ドル/円 | 158.55 〜 158.95 |
|---|---|
| ユーロ/ドル | 1.1756 〜 1.1790 |
| ユーロ/円 | 186.62 〜 187.29 |
| NYダウ | −4.87 → 49,442.56ドル |
| GOLD | −50.80 → 4,828.80ドル |
| WTI | +5.26 → 89.61ドル |
| 米10年国債 | +0.003 → 4.251% |
本日の注目イベント
- 独 独4月ZEW景気期待指数
- 英 英3月失業率
- 英 英ILO失業率(12−2月)
- 米 3月小売売上高
- 米 3月中古住宅販売成約指数
- 米 上院銀行委員会、ウォーシュ次期FRB議長指名公聴会
- 米 決算発表 → GE、MSCI、ユナイテッド
本日のコメント
先週末には10ドル以上も下落したWTI原油価格でしたが、昨日の朝方からは再び上昇し、結局下落分の半値ほど戻して帰ってきました。一旦開放されたホルムズ海峡が再封鎖されたこと。さらには、18日に実際に通過できた船は少数にとどまり、大半は引き返して通過の試みを断念し、19日には通航の動きがほぼ止まったこと。また、米海軍がイラン船籍の貨物船に発砲した上で拿捕したことで、原油輸送は早期には回復しないとの見方から原油価格が再び上昇しました。ただ、昨日の東京時間朝方には159円20銭まで買われたドル円は、その後下落に転じ、NYでは158円台半ばまで下落。株式市場でも主要3指数が下落したものの小幅に留まり、イラン戦争は早期に終結に向かうといった楽観的な声が聞かれる展開でした。
22日に停戦期間の期限が迫る中、トランプ大統領は、イランとの2週間の停戦を延長する可能性は低いと述べました。また、合意が成立するまでホルムズ海峡は封鎖された状態が続くとの見方も示し、戦争終結に向けた交渉の緊迫度が高まっています。トランプ氏は20日の電話インタビューで、4月7日に発表した停戦は「ワシントン時間22日夕刻に期限を迎える」と述べ、交渉のための時間をさらに確保する可能性を示唆した格好でした。ただ、期限までに合意に至らなければ「延長する可能性は極めて低い」とも語っています。トランプ氏は「拙速に悪い合意を結ぶつもりはない。時間はいくらでもある」と発言。その上で、ホルムズ海峡の封鎖を当面維持する方針を改めて示し、「彼らは私に海峡開放を求めている。イラン側は強く望んでいる。だが合意が成立するまでは開放しない」と述べています。トランプ氏の発言を受け、原油価格は上げ幅を拡大しました。次回の協議はパキスタンで開催される見通しで、「再協議には応じない」と伝えられていたイランも代表団を派遣する見込みです。
トランプ氏によると、バンス副大統領が20日にパキスタンに向けて出発し、「21日夕もしくは22日朝」に交渉を再開するとのことです。トランプ氏は協議に前向きな見方を示し、自ら出席したい考えに言及した一方、必要になるとは考えていないとも発言。「会合は開かれる見通しだ。イランは協議を望んでおり、望むべきである。良い結果になり得る」と話していました。一方再協議を前にイランのペゼシュキアン大統領は「米国の行動に対する根深い歴史的不信がイランには残っている」とXに投稿。さらに「イラン国民は力には屈しない」と強調しています。電話インタビューでトランプ氏は「私は海峡を封鎖している。彼らの船は拿捕した。必要なら、さらに5隻拿捕する用意がある」とも述べていました。再協議は行われる見込みですが、停戦に向け双方が合意に達するかどうかは不明です。焦点は「ホルムズ海峡問題」とイランの「核開発」です。トランプ氏は何としても原油価格を引き下げたい意向で、そのためにはホルムズ海峡の完全開放は譲れません。また核開発についても、核兵器保有の野心を放棄し、濃縮ウランの備蓄を引き渡すようイランに求めています。一方、イランはウランの放棄に難色を示し、核計画は平和目的だとしており、双方の溝は埋まっていません。この2つの難題がどのような着地を見せるか、ここが焦点になりそうです。
ラガルドECB総裁は、ベルリンで開かれたドイツ銀行協会の年次レセプションで「ショックの持続期間と価格転嫁の広がりという二重の不確実性を受け、金融政策について確固たる結論を下すにあたり、より多くの情報を収集する必要がある」と語っていました。イランと米国との緊張が週末に一段と高まったことで、世界的なエネルギー危機は深刻化し、戦争の早期終結への期待も後退している中、ECB当局者は、引き続きエネルギー価格の上昇と地政学的な不確実性の影響を見極める段階にあります。月末の政策委員会会合では金利を据え置く公算が大きい一方、投資家は年内に2回程度の利上げを見込んでいます。ユーロ圏のインフレ率は、2月には政策当局の目標を下回る「1.9%」まで低下しましたが、3月には原油価格等の上昇を受けて「2.5%」と大幅な上昇を見せています。今回は「3%」に向けて加速すると見込まれており、4月の企業調査では活動のさらなる悪化が示される可能性が高いと見られています。ラガルド氏にとって、経済の見通しは依然として「極めて不透明」です。同氏は「戦争や停戦、和平交渉、決裂、海上封鎖、その解除、さらに再開といった、戦争の断続的な性質により、影響の期間や深刻さを見極めるのが非常に困難になっている」と強調していました。
米連邦最高裁判所が違憲と判断したトランプ政権の関税を巡り、税関・国境警備局(CBP)は、還付手続きの第1段階を20日に開始すると発表しました。ブルームバーグによると、第1段階は、最終的な関税額が確定していない案件や清算後80日以内の案件の一部に限定される。還付は通常、申請の受理後60−90日以内に実施される見込みだが、コンプライアンス上の懸念がある場合は追加審査により遅延する可能性があるとしています。最高裁は2月20日に、トランプ氏が「1977年の国際緊急経済権限法」を根拠に、世界的な関税を課したのは違法だとする判断を6対3で下していました。
最後に、次期FRB議長への就任が決まっているウォーシュFRB理事は、「21日に予定される指名公聴会で『金融政策の独立性は獲得されるものであり、不要な影響を排することでより良い政策判断が形成されると考えている』と発言する見通し。『金融政策運営が厳格に独立性を維持するよう確実にすることにコミットする』としている」と、公聴会での証言原稿をブルームバーグが確認しています。トランプ大統領に指名された同氏ですが、今の所その影響を感じさせる発言は行っていません。もっとも、「中央銀行の独立性」は、極めて当たり前のことで、当然と言えば当然です。
本日のドル円は158円〜159円30銭程度を予想します。22日期限の協議の結果が分かるまで、様子見の展開です。
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What's going on?
会話でよく使われる砕けた言い方で「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。為替はさまざま事が原因で動きます。その動いた要因を確認する意味で「What's going on ?」というタイトルを付けました。
| 日時 | 発言者 | 内容 | 市場への影響 |
|---|---|---|---|
| 4/6 | ハマック・クリーブランド連銀総裁 | 「政策当局はかなりの期間、金利を据え置くのが望ましい」、(労働市場が顕著に悪化した場合)、「利下げが必要となるシナリオも想定される」、「インフレ率が目標を上回る状態が続く場合には、利上げが必要になる可能性もある」、「インフレ率は既に5年以上にわたり目標を上回る状態が続いている」、「さらに上昇すれば、2%目標から離れる誤った方向に進んでいることを示す」 | -------- |
| 3/30 | パウエル・FRB議長 | 「インフレ期待は、短期を超えてしっかり安定しているようだ」、「紛争の影響に対応する必要が生じる可能性はあるが、現時点ではその段階には至っていない」、「経済への影響がどうなるかは分からない」、「金融政策は様子見が可能な良い位置にあると考えている」、「供給ショックは通常は重視しない傾向があり、その際に極めて重要なのはインフレ期待を注意深く監視することだ」 | 債券と株が買われ、金利は低下。 |
| 3/27 | バーキン・リッチモンド連銀総裁 | 「米国が石油の純輸出国であるため、理論上は限定的にとどまる」、「ただ、ガソリン価格は目に見えやすく、消費者心理を冷やす可能性があるほか、航空運賃や貨物輸送、物流コストにも影響が及ぶ可能性がある」 | -------- |
| 3/27 | ポールソン・フィラデルフィア連銀総裁 | 「燃料価格や肥料価格の上昇がインフレ期待に波及するスピードが速まり、かつ持続性もやや高まるリスクが少し強まっている」、「それを懸念している」、「こうしたショックが持続的なインフレに転じるためには、それを持続させるメカニズムが必要だ」と指摘。「賃金設定の面では、現時点でそれを引き起こすような強い動きは見られない」 | -------- |
| 3/23 | デーリー・SFシスコ連銀総裁 | 「不確実性の下では最も可能性の高い単一の道筋は存在しない。 経済には少なくとも二つの可能性のある道筋がある。 中東の紛争が早期に解決すれば、石油やエネルギー価格は低下し、米経済への影響は短期的で限定的にとどまる。一方、紛争が長期化すれば、エネルギー供給の混乱とそれに伴うコスト圧力が持続し、インフレ上振れや成長鈍化、労働市場の弱体化といったリスクが高まる可能性がある」 | -------- |
| 3/23 | グールズビー・シカゴ銀総裁 | 「インフレが落ち着けば、今年中に複数回の利下げを行う状況に戻る可能性もある。もし状況が異なる方向に進み、インフレが制御不能になった場合、利上げが必要になる状況も想定できる」 | -------- |
| 3/18 | パウエル・FRB議長 | 「経済への潜在的な影響が及ぶ範囲や期間を把握するには時期尚早だ」、「強調したいのは、誰にも分からないということだ」、「利下げを再開するにはインフレ鈍化の進展を確認する必要がある」と強調。「特に、関税によって押し上げられてきた財のインフレ減速が重要だ」、「その進展が見られなければ、利下げはないだろう」、(自身の進退に関し)、「FRB本部の改修工事を巡る司法省の調査が完全に終結するまで、理事として辞任するつもりはない」、「エネルギー価格の上昇によるインフレへの影響は一時的だ」、「金融当局は通常利上げを行わない」と説明。「ただしこの対応は、インフレ率が長期的にFRBの目標である2%前後に収束するとの期待が維持されることを前提としている。米国のインフレ率は5年間にわたり2%目標を上回っている」 | 株式と債券が売られ、ドル円は159円90銭まで上昇。 |
| 3/18 | FOMC声明文 | 「中東での戦争に伴う経済への影響が不確実だ」、「委員会は2つの責務の両サイドに対するリスクに注意を払っている」 | -------- |
| 3/15 | ライト・エネルギー長官 | 「この紛争は今後数週間で確実に終わると考える。それより早まる可能性もある」、(原油は)「その後は供給が回復し、価格は押し下げられるだろう」 | -------- |
| 3/15 | ハセット・NEC委員長 | この任務の完了には4−6週間を要するが、予定より早いペースで進んでいると、国防総省が14日時点でみていた」、「戦争の終結時期を最終的に決めるのはトランプ大統領だ」、「現在の状況が終わり次第、世界経済には大きなプラスのショックが起きると予想している」 | -------- |
| 3/15 | アラグチ・イラン外相 | 「われわれが米国と交渉すべき理由など一切見当たらない。米国はわれわれと協議をしながら攻撃を決断したのだ。しかも2度にわたって」、「勝利の見込みのない違法な戦争を行っていることをトランプ氏が認めるまで、イランは自衛を続ける」 | -------- |
| 3/14 | トランプ大統領裁 | 「イランは合意を望んでいるが、条件がまだ十分に良くないため私は応じたくない」、「非常に強固な合意には、イランが核開発の野心を放棄するとの確約が含まれる必要がある」 | -------- |
| 3/3 | ウィリアムズ・NY連銀総裁 | 「二次的影響がなく、インフレ期待が十分に定着していることを考慮すると、関税は価格に一時的な影響を与えるに留まるとみられる」、「関税の完全な影響はまだ現れていないため、FRBの2%のインフレ目標への進展は「一時的に停滞している」 | -------- |
| 3/3 | シュミッド・カンザスシティー連銀総裁 | (インフレ率は高過ぎるとの認識を改めて示し)、「最新のデータはインフレ率がFRBの目標を1ポイント近く上回っていることを示唆している」 | -------- |
| 3/3 | カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁 | 「これまで想定していた今年1回の利下げに対する確信が以前より弱まった」 | -------- |
| 3/2 | 氷見野・日銀副総裁 | 「足元では若干のマイナスだが、いずれゼロ近傍になる」、「政策金利の緩やかな引き上げを通じて、だんだん中立に近づけていく」、(物価の基調については)、「着実に上昇してきていることは確か」、「達観すれば、既におおむね2%近辺である」、「2%に確実に達しているとまではまだ言えないのではないか」 | -------- |
外為オンラインのシニアアナリスト
佐藤正和
邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。
インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。
通算30年以上、為替の世界に携わっている。
・ラジオNIKKEI「株式完全実況解説!株チャン↑」出演中。
・STOCKVOICE TV「くりっく365マーケット情報」出演中。
・Yahoo!ファイナンスに相場情報を定期配信中。
・書籍「チャートがしっかり読めるようになるFX入門」(翔泳社)著書



