今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2010年9月16日(木)




おはようございます。



ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 政府日銀による大規模な市場介入により、円は終始85円台 で安定。円の安値は85円78銭で、ほぼこの水準で取引を終えた。
  • 市場介入は東京時間だけではなく、ロンドン、NY市場でも 邦銀の海外支店を通じて断続的に行われた模様。その規模は 2兆円との報道もあり、過去最大の可能性も。
  • 円はドル以外の通貨に対しても売られ、ユーロ円は111円台 後半、豪ドル円も約3ヵ月振りに80円台半ばまで円安が進む。
  • 米下院のレビン歳入委員長は日銀によるドル買い介入に対して 不快感を表明。
  • NY株式市場は企業のM&Aや、株主還元策などの観測 から上昇。ダウは46ドル高。
  • 債券相場は3日振りに下落し、金利は上昇。日銀が介入で買った ドルで米国債を買うのでは、との見方が背景。
  • 金は小幅反落し、原油は続落。
  • 9月NY連銀製造業景況感指数 → 4.10(市場予想より悪化)
  • 8月鉱工業生産 → +0.2%(予想どおり)                                              



ドル/円85.28 〜 85.78
ユーロ/円111.05 〜 111.60
NYダウ  +46.24 → 10,572.73ドル
GOLD −3.00  →  1,268.79ドル
WTI −0.78  →  76.02ドル
米10年国債 +0.044 → 2.723%


本日の注目イベント

         
  • 欧   7月ユーロ圏貿易収支 
  • 欧   非公式EU首脳会議   
  • 英   8月小売売上高   
  • 米   週間失業保険申請件数
  • 米   8月生産者物価指数
  • 米   9月フィラデルフィア連銀景況感指数                             



ついに政府日銀が市場介入に踏み切りました。



昨日の本欄でも介入の可能性が高まったとのコメントを書きましたが、非常にいいタイミングと



本腰を入れた「ドル買い円売り」姿勢に、市場はややサプライズだったようです。



日銀は昨日の朝方10過ぎ、ドル円が82円台に入りNY市場での円高値82円92銭を上回った時点で、



すかさず介入を実施しました。



今朝の報道によるとその規模も2兆円と、ドル買い円売り介入としては過去最大級ということになります。



また、介入方法も上値を買い上げていく、いわゆる「押し上げ介入」の手法を使った可能性が高く、



日銀にドルを買われた介入銀行は、市場で次々にドルの上値を買っていったことが連想されます。



予想外だったのは、海外市場でも邦銀の海外支店を通じてドルを買い続けたことです。



「協調介入」」の可能性はほとんどなかったことから、介入は東京時間限定と予想していましたが、



欧米市場でも断続的に介入を行ったことから、円は85円台の後半で膠着し、ほとんど円が上昇する場面は



ありませんでした。





介入を指揮する財務省からは「必要なら、今日も介入する」とのコメントも流れており、円高阻止に向けての



強硬な姿勢が伺えます。



その意味では今回の介入は「大成功」だったと言えそうです。



昨日のあのタイミングを逸してしまうと、ドル安がさらに進み「介入はできない」と判断した投機筋に



円が一段と買い進まれた可能性もありました。



継続的にドル買い介入を行ったことで、ドル売り円買いのポジションを膨らませていた投機筋も、昨日のどこかの



タイミングでドルの買い戻しを行ったと思われ、今週末に発表されるシカゴ通貨先物市場での「建て玉」の



変化が見ものです。





さて、82円台後半から85円台後半までまで「力づく」で3円も水準を押し上げたことになりますが、問題は



介入がいつまで継続されるのか、ということと、どの水準まで押し上げを狙うのかという点に絞られます。



85円台の水準からさらに押し上げ介入が行われるようだと、85円ー90円の水準を目指しているとも



受け取れますが、このままずるずると再び円高方向へ流れる様だと82円台が「円高の上限」とも受け取れます。



過去の介入でも、単独介入だけで流れが変えられたことはありません。



足元の円高は本質的には米景気の後退によるドル安が主因です。



米景気が本格的に回復基調に戻るにはある程度の時間が必要なことは明らかです。



米景気の回復見通しが鮮明になり、「出口戦略」のタイミングが議論され始めた時が、ドルが上昇に転じる時



だと考えています。





さらに、今回の介入に対する米議会の反応は、下院歳入委員会のレビン委員長の不快感が象徴的です。



これ以上さらにドル高に誘導するようだと、ドル安を望んでいると思われるオバマ政権の内部からも



介入をけん制するような発言が飛び出すことも考えられます。



また、今後も次々に発表される住宅、雇用などの米経済指標が急激に改善する可能性は低いことから



ドルが再び下落することも十分考えられます。



一方、今回の介入による学習効果もあり、これまで通り円の高値を次々に更新して行く展開も



やや沈静化したように思えます。



82円ー83円台では介入警戒感も高まるからです。



しばらくは、介入警戒感と米経済指標との綱引きが続くのではないかと予想しています。








What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で 「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
為替はさまざま事が原因で動きます。
その動いた要因を確認する意味で 「What's going on ?」というタイトルを付けました。


日時 発言者 内容 市場への影響
9/2 トリシェ・ECB総裁 「想定よりも輸出が好調で、一部では内需も貢献した」「景気が失速することはない」理事会後の記者会見で。 ユーロは対ドル、対円でやや上昇。
9/8 野田・財務大臣 「当然(円売り)介入も含んでいる」衆議院財務金融委員会で、円高が進んだことに答えて。 海外市場で介入近しとの印象を与え、ややドル高に。
9/13 トリシェ・ECB総裁 「デフレリスクは見えない」「二番底になるとは思っていない」BIS総裁会議での記者会見で。 ユーロは対ドル上昇1.28台後半へ。

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


What's going on ? バックナンバー 2009年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2010年(PDF)


※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和