今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2010年12月8日(水)




おはようございます。



ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 円は再び下落し、83円台半ばまでドル高円安が進む。 ブッシュ減税の延長が正式に合意され、米長期金利が急騰したことや、 ユーロが対ドルで軟調だったことが材料に。
  • ユーロはアイルランドで2011年予算の審議が議会で始まり 成立するとの見通しがあるものの、依然として不透明感を払拭できず下落。
  • EU財務相会合は基金の拡大には至らず2日間の会議を終了。
  • 株式市場はブッシュ減税延長を好感し上昇したものの、引けにかけては 上げ幅を縮小。前日と同様にダウは小幅安、ナスダックは小幅高で取引を終える。
  • 債券相場は上記減税の2年間の延長や、2年債利回りの上昇を受け大幅に下落。 長期金利は5ヵ月半ぶりに3.13%台に上昇。
  • 金はドル高から反落。原油は米東部の寒波の影響もあり一時91ドルに 迫る場面もあったが、利益確定の売りに押され小幅反落。



ドル/円82.61 〜 83.66
ユーロ/ドル1.3257 〜 1.3401
ユーロ/円110.43 〜 111.12
NYダウ −3.03 → 11,359.16ドル
GOLD −7.10 →  1,409.00ドル
WTI −0.69 →  88.69ドル
米10年国債 +0.200 → 3.130%


本日の注目イベント

  • 日   景気ウォッチャー調査
  • 独   10月独貿易収支
  • 独   10月独鉱工業生産







海外市場でドル円は再び83円台半ばまでドル高円安が進みました。



昨日のアジア時間では82円36銭まで円買いが進む場面もありましたが、NYの円高値を完全に抜けなかったことや、



値ごろ感からドルは82円台後半まで買い戻され、海外市場ではさらに一段のドル買いに繋がっています。



特にNY市場では、いわゆるブッシュ減税の2年間の延長が正式に決まり、米財政赤字の拡大に繋がるとの見方から、



債券が大きく売られ長期金利が急上昇し、ドルが買い戻されています。



今回の減税の延長は富裕層も対象になり、米ゴールドマンサックスなどは、減税措置の廃止を睨んで、来年に支払う社員の



ボーナスを年内に支払うことまで検討していると報じられていました。






減税延長の合意は株式市場には「好材料」として受け止められ、NYダウは朝方から上昇しましたが、結果的にはそれほど効果は



ありませんでした。



大きく反応したのは債券市場です。



減税の財源確保のため国債の発行額がさらに増えるとの観測から、



財政赤字の拡大→債券市場の軟調→長期金利の上昇と、素直に反応し、



10年債利回りは一気に3.13%台に乗せました。これは7月13日以来の水準となり金利差拡大からドル全面高に繋がりました。



財政赤字の拡大は、米国債の格付け引き下げに繋がるのではとの懸念もありますが、これについては大手格付け会社の



ムーディーズ・インベスターズ・サービスが「米国債格付け引き下げにはつながらない」との見解を素早く示しています。



余りにも迅速な対応で何か、「周到に準備されていたのではないか」と勘ぐってしまいたくなります。






円は先週末の雇用統計の発表をきっかけに82円台半ばまで買われましたが、ひとまず目先の円の高値も確認した様に思えます。



少なくとも「80円を割り込むのは時間の問題」といった相場観はかなり遠くなってきたと感じます。



もちろん、年末から来年に向け「80円を試す展開」はあろうかと思いますが、それにはまだ時間が必要ではないかと観ます。



依然として不安定な「雇用と住宅」の回復基調が明確な鈍化傾向を示すなどのドル売り材料が必要になります。



来週末辺りまでに82円半ばから84円半ばのレンジをどちらかに抜けないと、しばらくはこの取引レンジ、もう少し広めに言えば



81円台後半から84円台後半で推移する可能性が高くなるのではないでしょうか。






円の方向性を決めるに重要なのは、やはりユーロの動きです。



1.30割れは回避しているものの、1.35から上値に大きく上昇するとも思えません。



EU財務相会合では現在7500億ユーロ(約83兆円)の救済基金は増額されませんでした。



EU首脳は財政危機はポルトガル、スペインまでは波及しないと観ているようです。



しかし、市場の見方は異なっているようです。






長期金利やCDSの保証料率の高止まりがそれを如実に表しています。



昨日のCDSの保証料率を観ると、アイルランドは5.39%と先週から少し改善はしているものの依然高水準です。



ポルトガルは4.35%でスペインは3.08%になっています。



日経ヴェリタス紙はCDSに詳しい専門家の意見として「経験則で言えば、2%超えはPIIGS並みの信用不安。6%超えは救済が



意識される水準」と報じています。



失業率に至ってはポルトガルは10.7%ですが、スペインは19.9%と、高水準です。



スペインでは5人に1人が失業しているという計算になります。



緊縮財政から税収の増加は望めません。歳入不足を補うには国債の増発に頼らざる得ません。



スペインの財政赤字の対GDP比は現在11.9%です。



財政赤字をGDP比3%以内に抑えるよう求めているEUの財政規律は相当厳しものになると思われます。



さらにスペインは来年4月からの半年間で310億ユーロ(約3兆3千億円)もの国債償還を控えています。



今後さらに金利が上昇したら借り換えコストにも影響し、さらに財政を悪化させる可能性もあります。






このように観てくると、来年2011年も通貨ユーロの火種は尽きないと思われ、欧州からの情報に一喜一憂させられそうです。



ユーロが対ドルで1.30を目指すのであれば、ドル円もやや円安方向に振れる可能性があります。



あるいは、今年8月の時の様に円が全面高となり、ユーロ円が105円を目指すことになるのかもしれません。













What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で 「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
為替はさまざま事が原因で動きます。
その動いた要因を確認する意味で 「What's going on ?」というタイトルを付けました。


日時 発言者 内容 市場への影響
11/30 バーナンキ・FRB議長 「米経済は失業率を大きく下げるほど十分な速度で成長していない」と指摘し、雇用創出が最優先課題であるとの認識を示す。(オハイオ州での会合で)。  ------
12/1 ボス・国連チーフエコノミスト 「オバマ政権と議会が追加の景気対策で合意しなければ、景気が来年に二番底に陥り、失業率は10%に上昇する可能性がある。」と指摘。(世界経済に関する国連の分析で)  ------
12/2 トリシェ・ECB総裁 「ユーロ圏の不確実性は高い」「緊張があり、これを考慮しなければならない」(ECB理事会後の記者会見で)  ユーロドル1.31台半ばから1.32台半ばに

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


What's going on ? バックナンバー 2009年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2010年(PDF)


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外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和