今日のアナリストレポート[月〜金 毎日更新]

2011年3月30日(水)




おはようございます。



ひと目で分かる昨晩の動き

NY市場

  • 円は主要通貨に対して下落。ドル円は82円台半ばまで円売りが
    進み、3月18日の協調介入後のドル高値を抜ける。
  • セントルイス連銀のブラード総裁が景気刺激策を解除する時期が
    近付いているとの発言をするなど、欧米での利上げ観測が高まって
    きている事が背景。
  • クロス円も軒並み円安に動き、ユーロ円は116円39銭と約10ヵ月半ぶり、
    豪ドル円は昨年5月以来の84円台後半まで円売りが進む。
  • 米株式市場は反発。消費関連株などが買われ、ダウは81ドル高。
  • 債券市場は株高に加え、5年債入札が不調だったこともあり下落。
    長期金利は3.4%台後半まで上昇しドル高に。
  • 格付け会社S&Pはポルトガルとギリシャの信用格付け引き下げを発表。
    事前に予想されていたことからユーロ売りには繋がらず。
  • 原油価格は4日ぶりに反発。金は4日続落。
  • 1月S&Pケースシラー住宅価格指数 → −3.06%
  • 3月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 63.4



ドル/円82.13 〜 82.48
ユーロ/ドル1.4047 〜 1.4114
ユーロ/円115.50 〜 116.39
NYダウ+81.13 → 12,279.01ドル
GOLD−2.40 → 1,417.50ドル
WTI+0.81 → 104.79ドル
米10年国債+0.049 → 3.487%


本日の注目イベント

  • 欧   3月ユーロ圏景況感指数
  • 欧   ビニスマギ・ECB理事講演
  • 米   3月ADP雇用者数
  • 米   ホーニング・カンザス連銀総裁講演(ロンドン)
  • 米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演(ロンドン)








ドル円が3月18日に協調介入を実施して以来のドル高値を更新しました。


82円手前までで頭を抑えられていたドル円は昨日の欧州市場であっさりと82円台に乗せ、NY市場では


さらに円売りが進み、82円半ばまでドル高円安が進んでいます。


また、円は主要通貨全てに対して売られ、「円独歩安」の展開でした。


特に、ユーロ円、豪ドル円では、昨年4−5月以来の円安水準まで売られ、やや円の先安観が台頭してきています。





背景はこのところ相次いでいる欧米の利上げ観測です。


今週発表された米経済指標は、昨日のS&Pケース・シラー指数のように、どちらかと言えば悪化していることから、


市場はFOMCメンバーなど、「要人発言」に敏感に反応していると言えます。





昨日も、ブラード・セントルイス連銀総裁はプラハでの金融関連会議で「景気回復に伴い米金融当局は計画している


米国債購入の規模を1000億ドル(約8兆2500億円)程度圧縮することは可能だ」との考えを示し、


金融政策を転換する時期が近いことを示唆しています。


また、同総裁以外にも「タカ派」と見られる連銀総裁の多くが米経済指標の改善を理由に、政策変更に前向きの


発言を繰り返しています。





4月の理事会での利上げが見込まれているユーロ圏についても、昨日、ECB政策委員会メンバーである、マクチ・スロバキア連銀総裁


は、ECBが来週利上げを実施する「可能性が極めて高い。ただ確実とは言えない」とのコメントを残しています。


ユーロ圏についてはこれまでもトリシェ総裁が再三利上げに前向きな発言を繰り返していますが、来週7日の理事会での


利上げの可能性はかなり高まってきていると感じられます。(参照:下記 What's going on )





一方、日本はどうかと言えば、利上げからはほど遠く、震災復興のための国債の増発による金利上昇は見込まれますが、


さらなる景気刺激策が必要な状況も考えられます。


欧米では急速に政策変更の可能性が高まる中、日本の「出口戦略」はまだ当分先の話だとすれば、金利上昇分のメリット


から、ドルやユーロが買われるのは自然な流れで、昨日はまさにこの動きが出たと言えます。





ドル円は82円台半ばまで上昇し、地震発生後の水準まで値を戻し、3月17日の史上最高値からは実に、「6円強」円安が


進んだことになります。


東北関東大地震や原発事故は明らかに「円安要因」だったにも関わらず、その後投機的な動きから円が急騰しました。


当社にも個人投資家ら「なぜ円が買われたのか?」といった問い合わせも多くありました。


これでようやく「本来の姿」に戻ったように思われます。





問題はこの後も円安傾向が続くのかどうかです。


テクニカルを確認すると、日足ではまだ完全にドル上昇傾向は見られません。


「100日移動平均線」と薄い「雲」が82円60銭ー83円にあり、目先はこの水準を上抜けする必要があります。


この水準を抜けると一目均衡表の「遅行スパン」も「好転」することから、上昇モメンタムが高まると観られます。





上で述べたように欧米では金融政策の変更が近いと観られていますが、米FOMCでは依然として政策変更には慎重論が


多いのも事実で、バーナンキ議長やエバンスシカゴ連銀総裁などはその中心にいます。


個人消費や製造業には明るい見通しが出てきていますが、住宅市場は依然として低迷しています。


昨日発表された1月のS&Pケース・シラー住宅価格指数も4ヵ月連続で前年同月比マイナスが続いており、下落幅も増しています。


特に、ラスベガスやフロリダなどバブルで急上昇した都市ではピークから半分程度まで価格が下落し、いまだ回復の兆しは見えません。


ドル円がさらに上昇して行くには、米住宅、雇用の回復が鮮明になり、金融政策の変更がより具体化してくることが不可欠です。


その意味からも今週末の米雇用統計は非常に注目されます。


1月、2月と改善傾向を見せてきた労働市場が、さらにその傾向を強めれば、金融政策の転換にまた一歩近づくことに


なるからです。












What's going on ?」とは・・・
会話でよく使われる砕けた言い方で 「何があったんだ?」「どうなっているんだ?」というような意味。
為替はさまざま事が原因で動きます。
その動いた要因を確認する意味で 「What's going on ?」というタイトルを付けました。


日時 発言者 内容 市場への影響
3/1  バーナンキ・FRB議長 「デフレリスクはごくわずかになった。」金融政策の変更については、「数ヵ月中に政策変更をするかどうか判断する」上院での議会証言で。      ----  
3/3  トリシェ・ECB総裁 インフレは「非常に警戒すべき」「『警戒』とは来月金利が上昇する可能性を意味する」理事会後の記者会見で。 ユーロドル1.38台半ば → 1.40台乗せ。
3/7  ロックハート・アトランタ連銀総裁 「資産購入を6月以降も延長することについては非常に慎重だ」「金融政策の選択視としては柔軟な姿勢でいることを望む」バージニア州の講演で。      -----  
3/8  ウェーバー・ドイツ連銀総裁 「ECBが年内に最大0.75%の利上げを実施するとの市場の予想を修正することは望まない」「将来に相当な物価圧力を予想している」ブルームバーグとのインタビューで。      -----  
3/16  エッチング・EUエネルギー担当委員 福島の原子力発電設備について「事実上、制御不能に陥っている。」 ドル円80円台前半から79円台半ばに急伸。史上最高値を更新。
3/19  トリシェ・ECB総裁 「政策当局者が強い警戒姿勢を追加することや撤回することは何もない」記者団に対して。 ユーロドル1.40台後半 → 1.41台後半へ
3/25  プロッサ・フィラデルフィア連銀総裁 「経済見通しが大筋で正確であるなら、金融政策はそれほどと遠くない将来に進路を反転するだろう」NYでのシンポジュームで。 ドル円81円近辺から → 81円半ばに
3/28  トリシェ・ECB総裁 「現状のユーロ圏のインフレ率は物価安定の定義が示すより高い」記者団に対して。 ユーロドル1.40台半ばから → 1.41台前半へ
3/29  ブラード・セントルイス連銀総裁 「「景気回復に伴い米金融当局は計画している米国債購入の規模を1000億ドル(約8兆2500億円)程度圧縮することは可能だ」プラハでの講演で。 ドル円81円後半 → 82円半ばに
3/29  マクチ・スロバキア中銀総裁 ECBが来週利上げを実施する「可能性が極めて高い。ただ確実とは言えない」記者団に対して。      -----     

※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものでは、ございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。 本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。


What's going on ? バックナンバー 2009年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2010年(PDF)

What's going on ? バックナンバー 2011年(PDF)


※尚、このサイトは情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではございません。投資の最終判断はご自身でなさるようお願い致します。本サイトの情報により皆様に生じたいかなる損害については弊社及び執筆者には一切の責任を負いかねます。

外為オンラインのシニアアナリスト 佐藤正和