FX 実践テクニカルチャート術 第4回RSI・ウィリアムズ%R

このページの監修者
外為オンライン シニアアナリスト 佐藤 正和
概要
RSIやウィリアムズ%Rは、相場の「買われすぎ・売られすぎ」から反転の兆しを捉える指標です。単独では「ダマシ」が多いため、移動平均線等のトレンド指標と併用し、相場の勢いを見極めながら使うのが鉄則です。
- RSI(相対力指数)とは?「値幅」から相場の勢いを測る仕組み
- RSIで勝つための実践術 トレンド系指標と併用して「ダマシ」を防ぐ
- RSIの逆行現象「ダイバージェンス」で相場のトレンド転換を捉える
- ウィリアムズ%Rの使い方と仕組み 反応の早さを活かしてトレンド転換を捉えるコツ
RSI(相対力指数)とは?「値幅」から相場の勢いを測る仕組み
今回はオシレーター系指標のなかで、もっともポピュラーなRSIについて詳しく取り上げます。
RSIとは?「値幅」に注目して相場の勢いを察知するオシレーター
RSIは、一定期間の値幅に占める上昇分の割合を数値化することで、価格の推移よりも素早く相場の強弱を可視化する指標です。計算式は、以下の通りです。
RSIの計算式(%)
n日間の値上がり幅 ÷ (n日間の値上がり幅+値下がり幅)
前日の終値に比べて当日の終値が高ければ(つまり、当日のローソク足が陽線なら)値上がり幅、低ければ(ローソク足が陰線なら)値下がり幅にカウントします。
為替レートが値動きした「値幅」に注目し、そのなかに占める上昇の割合を求めることで、買いが強いのか、売りが強いのかを判断する指標です。判断の根拠が値幅=上昇や下降の幅を基準にしている点が、為替レートそのものに注目した移動平均線などとは異なる点です。そのため、「相場の振幅=相場の勢い」をすばやく察知できます。
オシレーター系指標とは?
オシレーターは英語で「振り子」や「振動」を意味し、相場の振り幅から強弱を測定するテクニカル指標の総称です。「一方向に行き過ぎた動きはやがて修正される」という考え方に基づき、現在の価格が「買われすぎ」か「売られすぎ」かを数値で可視化します。
主な活用シーンは、相場の反転を狙う逆張りや、トレンドの勢いが衰えたことを察知するトレンド転換の判断です。
RSIの売買基準と注意点 「70%・30%」が目安
RSIは一般的に70%や30%のラインを売買の目安としますが、相場の勢いによっては「サインが機能しない特有の状態」があるため、その見極めが重要です。
RSIの一番ポピュラーな使い方は、以下の通りです。
RSIによる基本の売買判断
- 売り
- 「RSIが70〜80%以上(=買われ過ぎ)」のとき
- 買い
- 買い「RSIが20〜30%以下(=売られ過ぎ)」のとき
しかし、上昇、下降を問わず、強いトレンドがある相場では、RSIが100%や0%近辺にぺったりと張りついてしまい、使いものにならなくなります。
RSIで勝つための実践術 トレンド系指標と併用して「ダマシ」を防ぐ
RSIでの逆張りの使い方 「トレンドの転換点」を狙うリスク管理術
RSIにおける逆張りとはトレンドに逆らうことではなく、勢いが弱まった「トレンドの転換点」を狙う手法であり、ダマシに備えたこまめな損切りが成功の鍵となります。
「RSIは逆張り指標」とよくいわれますが、強いトレンドに歯向かって逆張りしても絶対に勝てません。逆張りが効果を発揮するのは、これまで続いてきたトレンドが弱まって、逆方向に転換しそうなとき以外ありません。そう考えると、逆張りというのは、トレンドに逆らった取引をするという意味ではけっしてなく、トレンドが転換しそうな瞬間を狙った取引ということができます。
トレンドが転換した瞬間を狙うわけですから、新しく生まれたトレンドの初期段階にいち早く乗ることができます。また、初期段階で乗るということは、「高く買って、さらに高く売る」といったブレイク手法などに比べると、「安く買って高く売る」ことができます。
図1RSIが使えるトレンド

オシレーター系指標が機能する相場
RSIなどオシレーター系指標は強いトレンドのある相場では本来の力を発揮できません。これらが有効に機能するのは、レンジ相場やトレンドが転換する局面です。
その分、成功すれば順張りに比べて大きな利幅が得られるものの、ダマシが多くなる点も肝に銘じたほうがいいでしょう。RSIを使った売買では、とくに注意して、こまめな損切りを怠らないことが重要になります。
トレンド転換は当たると大きいですが、ハズれることも多いので、勝率が悪くても勝てるように、損失を最小に抑える必要があるのです(図2)。
図2トレンド転換を狙う「順張り」と「逆張り」の違い

順張りと逆張りの特徴比較
- 順張り
- トレンドの方向性が明確になったタイミングで取引する(=トレンドフォロー)ため、安心感があるが利益幅は控えめ。
- 逆張り
- トレンドの転換を予測して乗る取引で、オシレーター系指標が有効に使える。早いタイミングで入れるため大きな利益を狙えるが、ダマシも多い。
「ダマシ」を回避するには?移動平均線との併用や反転の狙い方
RSIのダマシを防ぐには、移動平均線でトレンドの有無を確認し、数値が過熱圏から「実際に反転し始めた瞬間」に絞ってエントリーするのが効果的です。
図3の「ユーロ/円」の日足チャートを見てもらえばわかるように、一定のレンジでボックス相場が続いているときの的中率は高いものの、上や下に強いトレンドが出ると、RSIが「売られ過ぎ→買いシグナル」を出していても、為替レートの下落が続いてダマシに終わるケースも多発します。
図3RSIを単独で使った場合の売買シグナルとダマシ

そのため、RSIは単独で使うのではなく、トレンド系のテクニカル指標とかならずセットで使うべきです。
さらに、「70%以上なら買われ過ぎ」「30%以下なら売られ過ぎ」と単純に判断するのではなく、「70%以上の買われ過ぎゾーンからRSIが失速下落した瞬間」「30%以下の売られ過ぎゾーンから反転上昇が始まった瞬間」を捉えた売買を心がける必要があります。
移動平均線との組み合わせ 「相場の傾き」からシグナルの精度を上げる
移動平均線が横ばいの「レンジ相場」であることを確認してからRSIのシグナルを採用することで、トレンドに巻き込まれるリスクを抑え、的中率を高めることができます。
図4は「ユーロ/ドル」の1時間足チャートに短期移動平均線・中期移動平均線とRSI(期間7)を描画したものです。
図4RSIと移動平均線の組み合わせ

移動平均線を併用した売買判断
- 1移動平均線が横ばいの時RSIのシグナルは当たりやすくなる
- 2移動平均線の傾きが強くなるとハズレやすい
RSIが「70%以上から下落した瞬間に売り」「30%以下から上昇した瞬間に買い」という手法で取引した場合、成功したのが緑の吹き出しで示した部分です。赤の吹き出しで示した部分では失敗しています。
成功した1の地点では、中期移動平均線が横ばいで推移し、短期移動平均線が中期線に絡みつくように上下動していることがわかるでしょう。
反対にRSIのシグナルがダマシに終わった2の移動平均線は、ともに右肩下がりになっていて、強い下降トレンドが続いていることを示しています。
このように、移動平均線の傾きなど、トレンド系指標で相場のトレンドが強いか弱いかを判断し、横ばい相場やゆるやかなトレンド相場のときに限って、RSIを売買シグナルに使うと的中率がアップします。
ボリンジャーバンドと組み合わせ 「値幅×標準偏差」で根拠を強める
値幅を見るRSIと標準偏差を見るボリンジャーバンドを併用し、両方が同時に「行き過ぎ」のシグナルを出したポイントを狙うことで、逆張りの成功率を大きく向上させることが可能です。
RSIは単独ではなく、組み合わせて使うべきチャートですが、その相手としては移動平均線のほかに、ボリンジャーバンドも有効です。RSIは値幅、ボリンジャーバンドは標準偏差値という、まったく違ったアプローチで、相場の行き過ぎを察知します。
ボリンジャーバンドを併用した売買判断
- 売り
- RSI70~80%越え、ボリンジャーバンド+2σ越え
- 買い
- RSI20~30%割れ、ボリンジャーバンド-2σ割れ
というように、両者のシグナルが重なったところで逆張りする手法を使うと、予想の精度を高めることができるでしょう。
RSIに最適な時間帯は?日本市場のレンジ相場を狙うメリット
RSIが真価を発揮するのは、強いトレンドが発生しにくい日本時間9〜16時頃までの「日本市場」であり、緩やかなレンジ相場での上下動を捉えるのに最適です。
短期売買の場合は、どのような時間帯に使うかも重要です。ロンドン市場が始まる日本時間16〜17時以降や、アメリカで経済指標が発表されてNY株式市場が始まる日本時間21〜24時といった時間帯は、強いトレンドが発生する順張りタイムです。
こういったとき、逆張り指標といえるRSIは使い勝手が悪くなります。反対に、欧米が深夜になる日本時間9〜16時ぐらいにかけての日本市場は、相場が横ばいで推移することが多い時間帯です。落ち着きのあるレンジ相場で、為替レートの細かい上下動をこつこつ利益にしていくのに打ってつけの指標がRSIといえます。
図5は日本市場が取引が行われている朝方から夕方にかけての「ユーロ/ドル」の10分足チャートにRSI(期間7)を描画したものです。こうした細かいレンジ相場では、RSIがよく機能することがわかるでしょう。
図5RSIと朝〜夕・日本市場のレンジ相場

RSIが機能しやすい時間帯
日本市場の9〜16時にかけては値動きが緩やかな「レンジ相場」になりやすく、オシレーター系指標であるRSIの逆張りシグナルが最も機能しやすい時間帯です。
RSIの逆行現象「ダイバージェンス」で相場のトレンド転換を捉える
「ダイバージェンス」とは?トレンド転換を示す強力なサイン
ダイバージェンスとは、ローソク足とRSIの動きが逆方向に進む現象のことで、現在のトレンドが弱まり、まもなく相場が反転することを示す強力なサインとなります。
RSI自体にトレンドラインを引くことで、相場の方向性を見る手法も一般的です。RSIは逆張り指標といわれていますが、RSI自体が右肩上がりなら強い上昇トレンド、右肩下がりなら強い下降トレンドというように、トレンド判断に使うこともできます。その際は、RSI自体にトレンドラインを引くと、方向性がより鮮明になります。
図6は、「豪ドル/円」の日足チャートとRSIにトレンドラインを引いたものです。
図6トレンド転換の先行指標「ダイバージェンス」の実例

ダイバージェンスによるトレンド転換サイン
- ローソク足とRSIのトレンドが逆転するダイバージェンスは買われすぎゾーン(天井圏)や売られすぎゾーン(大底圏)を示す強い売買シグナルになります。
実際の値動きがレンジ相場のときは、RSIもレンジの範囲内で動き、トレンドが生まれると、RSIもその方向に動き出すことがわかります。ただし、両者が反対方向に動くこともあり、チャート中央部では、ローソク足の上昇トレンドは継続中なのに、RSIは右肩下がりになっています。
このように、ローソク足とRSIの方向性が逆向きになることを「ダイバージェンス」といい、ローソク足のトレンドがそろそろ転換するシグナルになります。長い期間、上昇や下降のトレンドが続いたあと、そこから大きくトレンドが方向転換する場合、RSIのダイバージェンスがそれより早く起こります。相場の天井や大底をとらえる手法として活用しましょう。
RSIと似た別のオシレーター系指標「ウィリアムズ%R」もあわせて紹介しましょう。
ウィリアムズ%Rの使い方と仕組み 反応の早さを活かしてトレンド転換を捉えるコツ
ウィリアムズ%Rとは?RSIより素早く売買タイミングを捉えるオシレーター
ウィリアムズ%R(ウィリアムズ・パーセント・アール)は、期間内の最高値と最安値に対する現在値の位置を数値化した指標で、RSIよりも値動きに敏感に反応するため、トレンドの変わり目をスピーディーに捉えられるのが特徴です。
ウィリアムズ%Rの計算式は、以下の通りです。
ウィリアムズ%Rの計算式(%)
「(当日の終値−n日間の最高値) ÷ (n日間の最高値−過去n日間の最安値)」×100(%)
この場合、グラフが上にあると「売られ過ぎ」、下にあると「買われ過ぎ」と表示方法がRSIなどと真逆になってしまうため、0%〜−100%の表示にして使うのが一般的です。「ウィリアムズ%Rが−20%以上で買われ過ぎ、−80%以下で売られ過ぎ」というように、判断方法はRSIと同じです。
ただ、RSIが期間中の値幅の合計から算出するのに対して、ウィリアムズ%Rは、期間中の最高値と最安値という2点のみ注目して値幅を算出。現在値がその値幅のなかのどの位置にあるかを示したものです。
売買サインの判断方法 「数値の張り付き」から反転する瞬間を狙う
数値が天井(0%付近)や底(-100%付近)に長く留まった後、そこから勢いよく離脱する瞬間が、新しいトレンドの発生や強い反発を捉える絶好の売買タイミングとなります。
現在値が期間中の最高値を更新し続けば0%に張りつきますし、最安値更新なら−100%に張りつきます。RSIに比べて上下動が頻繁で、反応速度が早い点が魅力でもあり、欠点でもあります。反応速度の早さを活かして、トレンドの転換点をすばやく見つけることも可能ですが、ダマシが多くなるという弊害もあるというわけです。
また、「買われ過ぎ・売られ過ぎ」ゾーンに張り付く期間がRSIなどに比べて長いのも特徴といえます。そのため、以下のような判断をすると、相場の変化をすばやくとらえることが可能です。
ウィリアムズ%Rの売買判断
- 売り
- 売られ過ぎゾーンに長く張り付いたあと反転上昇した時
- 買い
- 買われ過ぎゾーンに張り付いたあと急落した時
図7は、「ユーロ/ドル」の日足チャートに、期間25日のウィリアムズ%Rを描画したものです。
図7ウィリアムズ%Rの売買シグナル

ウィリアムズ%Rの活用ポイント
RSI同様に、強いトレンドのある相場よりもレンジ相場やトレンド転換で威力あり
- 売り
- 買われすぎゾーン(天井圏)から下落したとき
- 買い
- 売られすぎゾーン(大底圏)から上昇したとき
図に示したAの地点は、ウィリアムズ%Rが−20%より上で長く推移したあと、急激に下落。為替レートも同じく急落して、売買シグナルが的中した時点です。このように、「ガーベージ・トップ」(天井張りつき)、「ガーベージ・ボトム」(底這い)状態のウィリアムズ%Rが、反対方向に急変動した時点が狙い目となるのです。
むろん、ダマシが多いことは覚悟しておいてください。図7でも、Aの地点の前に一度、ウィリアムズ%Rの急落がありましたが、こちらはほぼダマシに終わりました。
オシレーターの注意点 ダマシを回避するためのリスク管理術
反応が早い分「ダマシ」も多いため、移動平均線やボリンジャーバンドで全体の流れを確認しながら、予想に反した場合はこまめに損切りを行うことが、勝率を安定させるための重要なコツです。
RSIにしても、ウィリアムズ%Rにしても、単独で使うのではなく、トレンドラインや移動平均線などトレンド系指標と組み合わせることが大事です。さらに、トレンド転換の初動を狙う取引ですから、ダマシにあったらこまめに損切りする我慢強さも必要です。
オシレーター系指標でトレンド転換を狙う場合は、勝率が低くても勝てるように、損失は小さく、利益を大きく伸ばす(損小利大)工夫が必要になるのです。
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