FX 実戦チャート術|成果を挙げるために必要なチャート分析|第23回 移動平均線、グランビルの法則 etc.|外為オンライン

ある期間の為替レートの終値の平均値を結んだ線が移動平均線

チャート分析を一から解説する、この講座。
これまで見てきた「トレンドライン」や「チャートパターン」は、チャート上で目に見える高値と安値を基準に、値動きの方向性や勢いを測るものでした。

しかし、テクニカル分析の世界では、実際の値動きを数学的な計算式で加工したうえで、その数値をもとに為替レートのすう勢を読み取る指標が数多く開発されています。そのもっとも初歩的でポピュラーな指標が「移動平均線」です。

図1:移動平均線の計算式

英語では「ムービングアベレージ(動く平均)」と呼び、頭文字をとって「MA」と記されることもあります。
移動平均線は「平均」という言葉が示すように、ある期間の値動きの平均値を割り出し、その値を時系列でつなげていったものです。
たとえば、5日間の移動平均値の計算式は、

[当日の終値+1日前の終値+2日前の終値+3日前の終値+4日前の終値]÷5

になります。
翌日になると、5日前の一番古い終値を除外して、新たに当日の終値を加えたものを5で割って、移動平均値を求め直します。

その繰り返しでできた平均値を結んだ線が移動平均線なのです(図1)。
図2は、「ドル/円」の日足チャートに5日、25日、50 日移動平均線を描いたものです。3つの移動平均線が並んでいますが、短期間の移動平均線のほうが動きが激しく、長期になればなるほどゆるやかになっていることがわかります。

移動平均線は古い終値をひとつ消して、新しい終値をひとつ足すという″入れ替え″で数値が変わっていきます。

そのため、期間が短く、終値入れ替えのインパクトが大きい短期移動平均線のほうが、為替レートの直近の値動きに反応して素早く変化する傾向が強く、短期的な為替レートの勢いがクリアにわかります。
反対に、長期移動平均線の場合、終値ひとつ入れ替えるだけでは大きく変化しないため、長い目で見た為替レートのすう勢を的確にとらえることができます。
ただし、その分、現在の値動きに対する反応は鈍くなります。

図2:移動平均線とトレンド

移動平均線の傾きでトレンドの方向を判断。位置関係で勢いを探る

そんな移動平均線で最重要なものは「傾き」です。
移動平均線が右肩上がりであるということは、期間中の為替レートの平均値が一貫して上昇を続けていることになりますから、「上昇トレンド」と判断できます。

●移動平均線が右肩上がり =上昇トレンド
●移動平均線が右肩下がり =下降トレンド
●移動平均線が横ばい =持ち合い(レンジ)相場

と即座に判断できるのです。
実際に、トレンド判断に使う場合は、上下動が激しい短期移動平均線を見るのではなく、長いスパンの値動きをゆるやかにとらえた中・長期移動平均線の傾きに注目したほうがいいでしょう。

移動平均線を使えば、トレンドラインのように線を引く手間を省けるだけでなく、突発的な値動きに左右されない、平均的なトレンド状況を把握できる点が魅力です。
「突発的な異常値を排除して、全体の平均値で判断する」のが移動平均線の本質といえるのです。
移動平均線で「傾き」に続いて重要なのは、「現在の為替レート(現在値)との位置関係」です。

●現在値が移動平均線の上にある =上昇する勢いが強い
●現在レートが移動平均線の下にある =下降する勢いが強い

と判断します。

たとえば、図3は2010年4月からの「ドル/円」の週足チャートに、13週移動平均線、26週移動平均線を描画したものです。

図3:移動平均線と為替レートの位置関係

図3の左半分では、移動平均線がともに右肩下がりで、為替レートは一部の例外を除いて、一貫してその下に位置して下落が続いています。
「長期線 短期線 為替レート」の順番で並ぶときは、為替レートが安値を更新している証拠で、強い下降トレンドの証しになります。
それが中央のゾーンでは、為替レートが長・短移動平均線の上に飛び出す場面もあって、横ばいトレンドに移行。
いったんは為替レートが移動平均線の下に潜りますが、そこから急激に上昇を始め、短期線、次に長期線を突破して、「為替レート 短期線 長期線」という強い上昇トレンドの並びに転換しています。
このように為替レートと長短移動平均線の並びに注目することで、

  • ●「長期線>短期線>為替レート」なら強い下降トレンド
  • ●「為替レート>短期線>長期線」なら強い上昇トレンド
  • ●その過程で起こる「長期線>為替レート>短期線」
    「為替レート>長期線>短期線」といった並びなら、横ばいトレンドやトレンド転換の兆し
  • ●短期線が長期線を突き抜けて上昇したら「 ゴールデンクロス」=買いシグナル
  • ●長期線が短期線を突き抜けて下落したら「デッドクロス」=売りシグナル

といった判断をすることができるのです。

ゴールデンクロスやグランビルの法則を売買判断に役立てる

なかでも、短期移動平均線と長期移動平均線の交錯(クロス)は、トレンドが大きく変化するシグナルとして有名です。
図4は「ドル/ 円」の短期間の値動きを示した1時間足チャートに、10時間移動平均線と25時間移動平均線を示したものです。

図4:移動平均線とゴールデンクロス・デッドクロス

図のなかの赤い〇で示したところでゴールデンクロス、青い〇で示したところでデッドクロスが起こっています。
合計12個のクロスが発生していますが、そのなかのいくつかは相場の急落や急騰を的確にとらえています。
ダマシも数多く起こりますが、移動平均線のゴールデンクロス、デッドクロスは相場の勢いが180度反対方向に変化する前兆となる、とても重要なシグナルといえるでしょう。

さらに、移動平均線と現在の為替レートの離れ具合(かい離)に注目することも重要です。
移動平均線は為替レートの平均値である関係上、現在値と移動平均線は付かず離れずの関係になります。
そのため、現在値が移動平均線からあまりに離れすぎると、反対に移動平均線のほうに戻る動きが起こりやすくなります。

現在値と移動平均線の間がどれだけ離れているかを示したものを「移動平均かい離率」と呼び、かい離率が大きくなると、かい離を狭めようとする逆の動きが出やすくなる、といった逆張りの判断に使うこともできます。

移動平均線を使った未来予想では、

「まず最初に傾きを見る」
「次に現在値との位置関係やかい離を見る」
「期間の違う線を何本か表示してクロスや並びを見る」

という3つのステップを踏むことを心がけましょう。
こうした移動平均線と為替レートの傾きや位置関係の変化を売買シグナルに結びつけたものとしては、「グランビルの法則」が有名です。
グランビルは1960年代にウォール街で活躍した株式新聞記者で、移動平均線を使った8つの売買シグナルを考案しました。

図5にその8つを図解しましたが、その本質は次の3つに集約できます。

図5:グランビルの法則

(1)現在値が上向きもしくは横ばいの移動平均線を勢いよく越えて上昇したら買い。下向きもしくは横ばいの移動平均線を割り込んで下落したら売り(ともに順張り)。
(2)移動平均線が右肩上がりなら現在値が下落したら買い(押し目買い)、右肩下がりなら上昇したら売り(戻り売り)。
(3)移動平均線と現在値が離れすぎたら反対方向に動くことを狙って売買(逆張り)。

図6は、2010年からの「ユーロ/ドル」の週足チャートですが、為替レートと26週移動平均線の関係にグランビルの8つの法則を当てはめることで、的確な投資判断を立てることができます。

図5:グランビルの法則

「移動平均線=投資家の平均売買値」と考えて投資家心理を読む方法

また、移動平均線はある期間の終値の平均値ですが、終値というのは、実際の投資家が為替の売買をした結果としてできたものです。
つまり、「移動平均線はある期間の投資家の平均的な売買値である」という考え方も可能です。
平均的な売買値よりも現在の為替レートが高い場合は、買いで勝負した投資家が儲かり、売りで勝負した投資家が損をしている状況です。
買い方は利益がプラスの状況なので、さらに買い増す余裕が出てきます。
反対に、売り方は為替レートが上昇したことで損失が発生しているので、損切りのためにその通貨ペアを急いで買い戻さなくてなりません。
つまり、為替レートが移動平均線の上にあると、買い方の買い増し圧力、それ以上に差し迫った売り方の買い戻し(損切り)圧力が加わることで、ますます上昇に拍車がかかることになります。

これが投資家事情から見た移動平均線の本質です。
その後、売り方の損切りが減り、買い方が利益確定に走ると、相場が一時的に調整して、押し目をつくることになります。

しかし、いったん下落して、投資家の平均買値である移動平均線に近づくと、損益がマイナスになるのを避けたい買い方の買い増しや、「安く買える」と思った新たな買値の参入で、相場が下支えされることで上昇トレンドが継続していくのです。

しかし、下落が続いて、為替レートが移動平均線を割り込んでしまうと、その期間中に買った投資家全体の平均損益はマイナスに転換します。
損失の拡大に耐え切れなくなった買い方がいっせいに投げ売りすることで、為替レートは急落、下降トレンド入りします。

つまり、為替レートが移動平均線を割り込むか割り込まないかで、投資家の損益状況が大きく変化し、それが相場のその後に大きな影響を与えるというわけです。
為替レートの高値や安値は素のチャートを見ていればすぐわかりますが、平均値というのは計算しないと出てきません。
にもかかわらず、移動平均線が為替レートの下落を食い止めるサポート役を果たしたり、上昇を阻むレジスタンスになるのは、ひとえに世界中の投資家が移動平均線を見ているからです。
テクニカル指標は物理的な法則や定理ではありません。
多くの投資家が見ていればいるほど、意識すればするほど当たりやすくなる”心理的要素”が大きいことも忘れないようにしましょう。

なかでも、日足チャートの100日、200日移動平均線は世界中の投資家が非常に注目している指標として有名です(図6)。
為替レートがその近くに接近したら、100日(200日)移動平均線を「越えるか越えないか」「守られるか破られるか」に注目することで、トレンドが継続するか反転するか判断できます。

みなさんも、単に素のチャートを見るのではなく、長短移動平均線を加えたチャートを使うことで、トレンドの方向性や勢いに、より敏感になりましょう。

このコンテンツは投資を促すものではありません。実際の投資に関しては、自己責任において行ってくださいますようお願いいたします。

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