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トレンド転換の分析に欠かせないモメンタム(値動きの強さ)とは?

「FXではトレンドフォローが大切」といっても、実戦ではそう簡単ではありません。「トレンドにいつ乗るのか?」は極めて難しい問題です。ただし、もっとも儲かるのは、これまで続いてきた潮目が一変して、新しいトレンドが生まれた初動段階での取引なのはいうまでもありません。
「頭と尾っぽはくれてやれ」という投資格言もありますが、トレンド転換が誰の目にも確かになった時点では、すでに相場に過熱感が出て、トレンド終焉が間近といったケースもしばしばです。「頭と尾っぽはくれてやれ」という場合でも、どこが頭で、どこまでが尾っぽかを的確に見極める必要があるのです。

「頭」となるトレンド転換をいち早く察知してエントリーすれば、当然、儲けも大きくなります。いわゆる"先行者利益"を享受できるのがトレンド転換を狙った取引といえるでしょう。

図1は、今年4月以降の「ユーロ/円」の日足チャートにトレンドラインを引いたものです。「ユーロ/円」は、ギリシャやスペインなど南欧諸国の財政懸念が高まると急落し、ECB(ヨーロッパ中央銀行)や各国政府が危機に対する打開策を打ち出すと反発する展開が続いています。

こうした危機の深刻化と救済策発表というニュースをきっかけに、チャートの山と谷が形成されているわけですが、どのニュースがどれほど為替レートにインパクトを与えるかを個人投資家が判断するのは、至難の技です。

図1:トレンドラインのブレイクとその限界

9月14日未明には、アメリカ中央銀行FRBが量的緩和第3弾(QE3)を打ち出し、「ユーロ/円」は「ユーロ/ドル」の影響を受けて急騰しましたが、「QE3はある程度、為替レートに織り込み済み」と市場は判断し、急騰劇は短命に終わりました(図1のチャート最後の部分)。
このように、どのニュースがサプライズで、どのニュースはすでに織り込み済みかは予測困難です。

そこでテクニカル指標の出番になりますが、単純なトレンドライン分析だけではダマシも多くなります。図1においても、為替レートがレジスタンスラインやサポートラインをブレイクしたものの、明確なトレンド転換は起こらず、高値や安値近辺で保ち合い相場に移行する「ダマシ」が何度か発生しています。トレンド転換に向かう動きが力強いものかそうでないのか、トレンドラインだけでは判断しづらいのです。

相場予測の世界では「トレンド=潮流」だけでなく、「モメンタム=勢い」という言葉もよく使われます。「強いモメンタム」というのは、力強く、勢いがある値動きを意味します。よく「イキがいい魚」といった表現が使われますが、その値動きのイキがいいのか悪いのかは、トレンド転換の可能性を探る意味でも、非常に重要になってきます。

モメンタムを見極めるためのテクニカル指標には、さまざまなものがあります。オシレーター系指標のように、これまでのトレンドに過熱感が出ているから反対方向の動きが生まれやすい、という消去法的な判断法もあります。値動きの強さ自体を測る指標としては、一目均衡表の遅行線、ボリンジャーバンドのエクスパンションやバンドウォーク、DMI(方向性指数)などが有効です。

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相場V字反転がわかる一目遅行線とボリンBのエクスパンション

図2:トレンド転換と一目均衡表の遅行線

図2は、図1の「ユーロ/円」の日足チャートに一目均衡表の遅行線のみを描画したものです。外為オンラインのブラウザ版チャートは、チャート設定画面を操作することで、各指標のなかで自分が見たい部分だけを表示させることができるので便利です。

一目均衡表には、基準線、転換線、雲などさまざまな要素がありますが、日々線(実際のチャート)を単純に26日前にずらしただけの遅行線と、日々線のクロスは為替レートの勢いを探る格好のシグナルになります。

売買判断も非常に単純で、遅行線が日々線を突き抜けて上昇すれば買い、下落すれば売り。遅行線は日々線を過去にずらしただけですから、両者が明確にXのかたちでクロスするのは、チャートにV字型の山や谷ができたとき。

逆にいうと、遅行線がクロス(X)のかたちで明らかに日々線を越えたり、割れたりしたときは、相場の天底からのV字反転の勢いが非常に強いことを表わします。日々線と遅行線が同じ方向で併走している場合は、V字反転に繋がりにくいケースが多くなります。

要するに、遅行線は、過去の値動きを現在の値動きが越えられるかどうか、その勢いに注目している点で、モメンタム分析に役立つ指標なのです。

ボリンジャーバンドの±2σのバンド幅もまた、値動きの強さを測るのに最適です。この指標は、為替レートの変動率(ボラティリティ)を偏差値のように測定したもので、バンドの拡大(「エクスパンション」)は為替レートの変動が強まること、バンドの収束(「スクイーズ」)は為替変動の力が弱まることを示します。

バンドが収束した状態から急激に拡大する瞬間は、為替レートの変動幅が急拡大している根拠。相場の天底で逆の方向に向かってボリンジャーバンドのエクスパンションが発生したときは、トレンド転換のモメンタムが非常に強いと判断することができます。

図3:トレンド転換とボリンジャーバンド

図3は、「豪ドル/円」の1時間足チャートです。図のなかで「豪ドル/円」は長らく下落したあと反転上昇していますが、±2σのバンドがぎゅっと縮まったあと、急速に拡大している場面が2度ほど起こっています。とくに、2度目のエクスパンションは相場の底打ち反転上昇を的確にとらえており、トレンドライン分析などとあわせて使って、上昇力の強さを確かめるのに有効です。

ボリンジャーバンドというと、「+2σで売り、−2σで買い」という逆張り指標だと思われがちですが、開発者のジョン・A・ボリンジャー自身が、「この指標は順張りに使うもの」と語っています。

その手法の中心にあるのが、為替レートが±1〜2σに張りついた状態で一方向に強く動く「バンドウォーク」です。図3のなかでも、強いトレンドが続いている間はバンドウォークが発生しています。トレンドラインのブレイクなどでトレンド転換初期にエントリーし、バンドウォークが続く間はホールドといった判断に使うことができます。

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モメンタムの強さをもとに計算されたDMIは使い勝手よし!

日本語では「方向性指数」と呼ばれるDMIも、モメンタムやトレンドの強さを測るのに最適な指標です。DMIは前日と当日の高値・安値の差という高値・安値の更新力に注目した指標です。+DIは上昇力の強さ、−DIは下落力の強さ、ADXはトレンド(値動き)自体の強さを示しています。基本的な売買法としては、

●+DIが−DIとクロスして上昇、ADXも上昇=買い
●−DIが+DIとクロスして上昇、ADXも上昇=売り
●ADXの上昇から下落で反対売買
●±DI、ADXがともに底這いでもつれ合ったときは様子見

というものになります。

図4:トレンド転換とDMI(方向性指数)

図4は、「ユーロ/ドル」の日足チャートですが、前半は下落↓小反発↓再下落と続き、後半、底値から反発したあと上昇が加速する展開になっています。DMIでは、下降が始まった初動や小反発後の再下落で、ぴったりと売りシグナルが出ています。

その後の底入れ反転は、上昇がゆるやかで力強いものではなかったため、3本のDMI線が下方でもつれ合うかたちになっており、シグナルとしては使えませんでした。

しかし、その後に上昇が加速する段階では、まず+DIが上がり、続いてADXが頭をもたげて明確な買いシグナルが点灯しています。

値動きが強いというのは、高値や安値を次々に更新することですから、DMIは相場のモメンタムを分析するツールそのものズバリということができるでしょう。上下かかわらず値動きの強さを示すADXがいったん下落して底這い状態のあと、上昇を開始した時点にエントリーすると、強い値動きの初動段階をとらえることができます。

ADXが大きく上昇する局面は、エントリーポイントでなく、利益を伸ばすところで、その後、下落に転じたら利益確定します。むろん、ダマシもあるので、トレンドラインのブレイクなど、複数のチャート分析と併用して使うことが重要です。

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一目遅行線で初動を察し、ボリンB&DMIで値動きの強さを測る

図5:トレンド転換と実戦チャート術

図5は、「ユーロ/円」の9月11日〜24日にかけての2時間足チャートです。
期間中、9月14日未明にはFRBによるQE3が発表され、「ユーロ/円」も急騰しています。この力強い上昇の勢いを、それぞれの指標はどのようにとらえていたのでしょうか?まず最初に、一目遅行線が日々線付近から大きく上昇しています。続いて、DMIの+DIが−DIを上抜けしてADXも上昇。

それより少し遅れて、ボリンジャーバンドのエクスパンションが始まりました。
3つのモメンタ系指標が順次強い上昇シグナルを発したわけですから、ここはその勢いをフォローして追随買いする絶好のチャンスでした。

利益確定は、大きく上昇したADXが下降を始めたとき、もしくはボリンジャーバンドのスクイーズが始まったときが適当でしょう。その後、「ユーロ/円」はしばらく高値持ち合いを続けたあと、下降トレンドに転換。この場合も最初にシグナルを発したのは、一目遅行線の日々線割れです。その後、ボリンジャーバンドのエクスパンションが起こり、ADXの売りシグナルが遅れて点灯しています。

このことからも、一目遅行線とトレンドラインのブレイクを先行指標にして早めに仕掛けるか、両者にボリンジャーバンドのエクスパンション、もしくはDMIのシグナルが重なるまで待って慎重を期すか、いずれかの選択肢で勝負するのが望ましいでしょう。

相場に山や谷ができるのは、過去の値動きを現在の値動きが打ち消したからなので、トレンド転換の場面では、一目遅行線の日々線越えがかなり早い段階で起こることは頭に入れておいたほうがいいでしょう。

非常に単純な指標ですが、相場に明確なV字反転が起こったとき、それを真っ先に教えてくれるのが一目均衡表の遅行線なのです。

最近の相場展開は、長らく続いた外貨の下降トレンド=円高トレンドが終焉しつつあるものの、ユーロ危機やアメリカの失業率の高止まりなどもあって、まだまだ本格的な外貨上昇は期待薄の状況です。

それは、「ドル/円」が77円台から80円台前半の非常に狭いレンジで推移していることからも明らか。しかし、「ドル/円」以外の通貨ペアでは、比較的大きな上下動が起こり、短期的なトレンドが入れ替わり立ち替わり、かなり力強く形成される展開が続いています。

こうした短期トレンドの転換がホンモノかどうかを正確にとらえるという意味でも、モメンタム系指標の重要度が高まっている時期といえるでしょう。

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2017年5月1日更新