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過去の高値や安値が未来の抵抗帯・支持帯になる理由とは?

前回は、為替レートのトレンドを見るために、チャートにトレンドラインを引く手法を紹介しました。
トレンドラインを引く意味は、過去に投資家が取引して為替レートが値動きした領域と、値動きしていない領域をわけることです。もし、今後も為替レートの方向性(すう勢)に変化がなければ、未来の値動きもトレンドラインのなかに収まるはず。反対に、トレンドラインを突き破るような動きがあれば、トレンドが転換した可能性を視野に入れる必要が出てきます。
トレンドラインの起点となる高値や安値は、

「高値=それ以上高いレートで過去に取引した人がいないレート」
「安値=それ以上安いレートで過去に取引した人がいないレート」

になります。
為替レートが過去の高値を越えるということは、その通貨ペアをこれまで買った人(「買い方」と呼びます)がみんな儲かっている状態を意味します。

逆に、高値でその通貨ペアを売ってしまった人(「売り方」といいます)は、為替レートが上昇を続けると損失が拡大します。それを防ぐために、売り方が急いで買い戻そうとすると、為替レートの上昇にますます拍車がかかります(投資用語で「踏み上げ」と呼びます)。そのため、過去の高値越え(「高値ブレイク」)はその後の上昇継続サインになるのです。

反対に、高値を越えるまでは、過去にその高値で買って損をしている人が市場に残っているので、少し上昇すると、彼らの売りで為替レートが下がります。これを「戻り売り」といいます。為替レートが高値より下にあるときは、この戻り売り圧力があるために、高値は上昇を阻む上値抵抗帯として機能するのです。

図1:過去の高値・安値と投資家の損益事情

これまで、チャート分析は過去の値動きの「経験則」から未来を予想するものと何度も強調してきました。しかし、単純な経験則というのは実は正しくありません。

為替レートの値動きは、単なる物理的運動ではなく「儲けたい」「損したくない」というお金儲けの欲望に突き動かされた投資家全員によってつくられたものです。
為替レートの高値と高値、安値と安値を結んだ線であるトレンドラインを見るときにも、その裏に投資家たちの損益動向を読むことが重要になります。

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投資家の利益確定や損切り行動がトレンドライン継続や転換を生む

図2は今年に入ってからの「ドル/円」の日足チャートです。
テクニカル講座右肩上がりの上昇トレンドが続いていましたが、Aの地点でいったんサポートライン(下値支持線a)がブレイクされて、為替レートが下落に転じています。しかし、再度反転上昇し、サポートラインaを突き抜けたあと、上昇が急加速しています。そして、新たなサポートラインbが生まれています。

上昇が続いている相場では、為替レートがいったんサポートラインまで下がったところで買う「押し目買い」が有効でした。押し目買いした投資家は、その後、予想通り、上昇が続いたら、どこかで利益確定の売りを出します。その売りのせいで為替レートは下がります。

図2:上昇トレンドのサポートラインと値動き

図2では、Aの地点でいったんサポートラインaがブレイクされたものの、投資家の買い意欲が強く、ふたたびaを突き抜けたことで、買い方の損益状況が改善し、上昇に拍車がかかったと分析することができるのです。
上昇トレンドといっても、一直線に上昇が続くことは稀です。多くの場合は、「上昇↓利益確定による調整↓再上昇」といった"三歩進んで二歩下がる"ようなリズムで上昇が続くことになります。

反対に、為替レートがサポートライン(下値支持線)を突き破って下落すると、買い方の損失がどんどん拡大します。損失拡大に耐え切れなくなった買い方がいっせいに損切りの売りに走ることで、下落が急加速してトレンド転換が起こるのです。

トレンドライン分析の背景にも、「儲かっている投資家はいつかは利益確定する=どんな上昇相場にも調整局面(押し目)がある」「損している投資家は損失拡大を怖れて、急いで損切り決済する=いったんトレンドラインを突き破ると、為替レートは急落・急騰しやすい」といった投資家の損益事情が大きな影響を与えているのです。

ちなみに、過去の高値は上昇を阻む上値抵抗帯になり、安値は下落を阻む下値支持帯になりますが、いったん突き破られると、逆の効果を発揮します。
つまり、為替レートが高値を越えるとその高値は下値支持帯に、安値を越えるとその安値は上値抵抗帯に変化します。トレンドラインも同様です。

図3:過去の高値とチャート上の節目

図3は「ドル/円」の月足チャートですが、過去の高値という「節目」を意識して、そこを抜けることができるかどうか、という視点をもつことがとても重要です。

具体的に見ると、「ドル/円」は2012年3月高値の84円17銭を越えてから上昇ピッチが加速しています。そして、2010年5月高値の94円98銭を突破し、現在は2009年4月高値の101円44銭にトライ中です。
それを越えたら、次の目標高値は2008年8月、すなわちリーマンショック直前の高値110円65銭になります。

これまでの急上昇を考えると調整局面がありそうですが、その場合は、いったん突き破った過去の高値である95円ラインや85円ラインが、今度は下落を食い止めるサポートラインとして機能しそうです。
過去の高値・安値を意識することで、目先の値動きだけにとらわれず、大局観をもった取引が可能になるのです。

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為替の値動きの形状に注目する「チャートパターン」の種類と使い方

さて、トレンドライン分析を一歩発展させて、値動きの形状を為替レートの現状認識と未来予測に役立てるのが「チャートパターン」と呼ばれるものです。
チャートパターンは為替相場の値動きの形状に注目して、相場の行方を判断するものです。大別すると、

反転型    …相場の天井や大底を探ってトレンドの転換点を発見
持ち合い型 …上昇や下降トレンドの中で起きるレンジ相場を見つけて、その後の値動きを予測

という2つの使い方がポピュラーです。
反転型の相場の天井を示すチャートパターンとしては、「ダブルトップ」や「トリプルトップ」が有名です。反対に相場の大底を示すものには「ダブルボトム」「トリプルボトム」などがあります。

たとえば、ダブルトップの場合、為替レートが上昇して「W」を逆さまにしたようなかたちで2度高値をつけたあと、下落に転じて高値と高値の間の途中安値(「ネックライン」と呼びます)を突破したら完成です。ダブルトップ完成は、上昇トレンドからの反転下落シグナルになるので、ネックライン割れで売りエントリーするのが基本的な売買戦略になります。

持ち合い型のパターンとしてもっとも有名なのは「三角持ち合い」(英語では「トライアングル」といいます)です。
上下動を繰り返していた為替レートの振幅がじょじょに狭まり、値動きが煮詰まって三角形をつくっていくのが、その名の由来になっています。

三角持ち合いが続いたあとには、上か下に為替レートが大きく放たれることが多く、相場急変動の予兆として注目されます。

図4:チャートパターンの種類と見方

図4にチャートパターンの形状をまとめてみましたので、参考にしてください。
チャートパターン分析が非常に便利な点は、パターン完成後に為替レートがどの程度まで上昇(or下降)するか、目標レートを教えてくれることです。

先ほどのダブルトップの例でいうと、ダブルトップ完成後は、最高値と途中安値(ネックライン)の値幅分だけ、ネックラインからさらに下落するといわれます。
また「三角持ち合い」の場合は、持ち合いの起点になった高値と安値(三角形の底辺にあたる部分)の値幅分、ブレイクした方向に動くというのが目安になります(ともに図4参照)。

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チャートパターンから目標レートを割り出して将来予測に役立てる

図5:ユーロ/円とチャートパターン

図5は、2009年から現在までの「ユーロ/円」の週足チャートのなかに、さまざまなチャートパターンを探った実践例です。
Aの部分には、下落トレンドの過程でよく出る「下降フラッグ」と呼ばれるチャートパターンがくっきり現われています。下落が始まった地点aと下降フラッグに転じた地点bを結んだのとほぼ同じ値幅分、上昇フラッグが下方ブレイクされた地点cから下落していることがわかります。

図5にはほかにも「上昇ウェッジ」「ダブルボトム」などのパターンを認めることができます。
そして、Bの領域で非常に大きな「ダブルボトム」が完成しています。この場合、ボトムの最安値a(=94円10銭)と、ネックラインの高値b(=111円42銭)を結んだ値幅分だけ、ダブルボトム完成地点c(=bと同値)から上昇するのが目安になります。
そうすると、128円74銭が目標レートになりますが、その後、実際に「ユーロ/円」がそこ(dの地点)まで到達していることがわかります。

気になる今後についても、2012年12月からの急上昇相場のなかにいったん「上昇ペナント」が出現。再度切り返して上昇に転じていることから、「ユーロ/円」が135円台まで上昇する可能性が視野に入ります。

図5

ただし、図5に立ち帰ると、現状の高値130円台は、2 0 0 9 年4 月から2010年1月にかけて続いた高値のレンジ相場の下限にあたります。すでにブレイクされた過去の安値は上値抵抗帯になるので、今後「ユーロ/円」の上昇スピードが鈍くなる可能性もあります。

チャートパターンから「絶対に当たる未来のレート」を知ることは不可能です。しかし、為替レートの値動きを予想するための目安やガイダンスを得ることで、投資戦略を立てやすくなります。
自分なりにチャート上にトレンドラインを引き、チャートパターンを見つけて、為替レートの現状把握と将来予想を行うことこそ、チャート分析の基本中の基本だといえるでしょう。

図6:チャートパターンの実践例

図6に、特徴的なチャートパターンが出現したチャートを3つ並べました。自分なりにその後の値動きを予想してみましょう。「?」で隠れた部分の値動きを解説した答えも示しましたので、自分の予想と比べてみてください。

図6:チャートパターンの実践例【答え】

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2017年9月1日更新