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ボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドの使い方
ボリンジャーバンドは過去の相場の動きから次ぎに表れる足はどのくらいの範囲内に収まるのかを表しています。
下のチャートで具体的に見てみましょう。7本の線のうち、中心の青い線は移動平均線で、その上に+1σ(シグマ=標準偏差)、+2σ、+3σと続きます。そして同様に下側に−1σから−3σまで表示されます。それぞれの線が意味するのは、次に形成される足が±1σの範囲に収まる確率は68.3%、±2σの範囲内に収まるのは95.5%、そして±3σの範囲内に収まるのは99.7%になることを示しています。実際にいろんな場面のチャートを見ても3σを超えることはほとんどありません。最近の例では2009年1月3日のフラッシュクラッシュが発生した際にはドル円を始め多くの通貨ペアが、週足、日足チャートで−3σを超える相場の下落がありました。また、週明けに窓開けが発生した時などは1時間足でも±3σを超えることはあります。
このような仕組みのボリンジャーバンドですが、実践で使える便利な使い方がたくさんありますので、整理してご紹介しましょう。
ボリンジャーバンドでは次のようなことが分析できます。
- トレンドの方向性:移動平均線を基準にレンジ相場、上昇トレンド、下降トレンドを判断する
- 価格変動率(値動きの振れ幅):移動平均線とボリンジャーバンド(±1σ〜±3σ)のどこにローソク足があるかによってその後の動きを予想する
- トレンド転換:バンド内でのローソク足の動きからトレンド転換を予測する(逆張りの目安)
- バンドウォークの発生による相場の継続(順張り・トレンドフォロー)
- バンド幅のくびれによるトレンド発生の予想(スクイーズ・エクスパンション)
トレンドの方向性とトレンド転換の例
ボリンジャーバンドは移動平均線がベースになっているので、設定された期間(初期設定値=21)に準じて相場の方向性が確認できます。
下のチャートでは3つの特徴的な相場の動きを読み取ることができます。Aの矢印のところではローソク足に移動平均線に重なったり±2σにぶつかって跳ね返され、またローソク足に重なったりという動きを繰り返しています。この部分はレンジ相場になります。ここでの売買タイミングはローソク足が−2σ(または+2σ)に跳ね返されたことが確認できたところで新規の買い(または売り)注文を入れ、その後逆サイドの2σにぶつかったところで決済の売り(または買い)注文を入れます。
次にローソク足が移動平均線よりも上にあり、ローソク足の全体が+1σを超えて上昇に転じたら上昇トレンドと判断できます。矢印Bの部分です。この場合は上昇トレンドが確認できた時点で新規買い注文を入れ、その後反転して、ローソク足が移動平均線よりも下に形成さえたところでトレンド転換と判断し、決済の売り注文を入れます。
そしてさらにローソク足の全体が−1σよりも下に位置し、下落し始めると下降トレンドと判断することができます。矢印Cのような動きです。この場合は上昇トレンドと逆に、下降トレンドが確認できた時点で新規の売り注文を入れ、移動平均線を下から上に突き抜け、上昇に転じたところで決済の買い注文を入れます。
バンドウォークの発生
安定したトレンドが発生するとローソク足はボリンジャーバンドの+1σ(または−1σ)と+2σ〜+3σ(または−2σ〜−3σ)の間をはみだすことなく上昇(または下降)し続けます。そして、トレンドが収束する場合は移動平均線に近づき、一旦は方向感が無くなる場合が多く見られます。原因はそれまで売り、または買いの材料(理由)があったものの、その目標を十分に果たし終えると次のターゲットが見つかるまでは方向が定まらず、売買も活発に行われなくなります。
これがバンドウォークの発生から収束までの特徴的な動きです。トレードのエントリータイミングはバンドウォークが確認された時点となり、エグジットポイントは相場が反転して、ローソク足が移動平均足を反対側に突き抜けた辺りになります。
A:下降トレンドで終値が−1σを完全に下抜けたのでバンドウォークの発生と判断し、新規売り注文を入れる
B:反転し、−1σを突き抜け、移動平均線も突き抜けたところで、決済の買い注文を入れる
スクィーズ&エクスパンション
ボリンジャーバンドに限りませんが、テクニカルチャートの面白いところは、一見単調な動きに見える相場の特徴を鮮明にあぶり出してくれるところです。下のチャートを見ると、週明けに大きな窓を空けて始まり、収束するとやがて大きく下降トレンドを形成し、それもやがて収束していくという相場展開です。ここで注目したいのがボリンジャーバンドの形です。左端Aのくびれたところから一気に広がり、それがまたBで収束してくびれると、また下落トレンドに合わせるようにCで急激に広がり、この下落トレンドの収束と供にまたバンド幅はDで狭くなっていくのがわかります。
このボリンジャーバンドのスクィーズ&エクスパンションを売買戦略にどう活用するかと言えば、バンドがスクィーズ(狭まった)したところで「次のトレンドの発生に備える」ことです。そして一旦エントリーしたら、この3σが最初にスクィーズに転換したところ(上のD)で決済の買注文を入れます。
ストキャスティクスの使い方
オシレーター系で人気の高いテクニカルチャートのひとつがストキャスティクスです。ストキャスティクスの基本は相場が買われ過ぎか、売られ過ぎかを判断するためのチャートですが、%K、%Dという2つの線の交差によって売買ポイントを決めるヒントにもなっています。
このチャートの仕組みを理解する前に、先ずは実際のチャートを見てみましょう。
ローソク足チャートの下に同じ時間軸で表現された緑色と黄色の線で表現されているのがストキャスティクスです。
ストキャスティクスでは一般的に%K(緑色の線)、%D(黄色の線)が、ともに80%の線を越えたら買われ過ぎ、また20%の線を下回ったら売られ過ぎと判断します。また%Kと%Dが80%より上でデッドクロスを形成したら売のサイン、そして20%より下でゴールデンクロスを形成したら買いのサインとされています。ただし、一旦トレンドを形成すると、上昇なら50%ラインよりも上側で、下降なら50%ラインよりも下側で上下動を繰り返してしまうので、その点は注意しましょう。また、チャートには常にダマシがありますので、それを回避するために他のテクニカルチャートと併用するなどして精度を高める工夫も必要になります。
チャートの仕組みが分かると、応用も利くようになります。計算式は覚える必要ありませんが、ストキャスティクスの特長が表れているので見てみましょう。
最初に%Kの計算式です。過去9日間でもっとも低かった価格から当日の終値を引いた差額を、過去9日間の間で最も高かった価格と最も低かった価格の差額で割ります。
最後に%表示するためにこの数値に100を掛けたものが%Kです。すなわち、過去9日間にどんな動きをしたかに関係なく、その間の最高値と最安値と当日の終値だけで決まるのがストキャスティクスというわけです。
実際のチャートで見てみましょう。これは架空の通貨ペアの9日間の日足チャートです。この中で一番高かったのは2日目に付けた111.00円です。そしてもっとも低かったのが6日目に付けた110.00円です。そして当日の終値は110.20円でした。この価格を上の計算式に当てはめると下の赤枠で囲んだような計算になり、%Kは20%であることが分かります。こうして割り出された数値と数値を線で結んだものがストキャスティクスの%Kになります。(下図参照)
この%Kの分母と分子の両方で、直近3日間の数値を合計し、この分子を分母で割って100を掛けたものが%Dになります。
なおこの9日間という数値は絶対ではなく、人によっては9日の変わりに5日にしたり逆に長くして14日などに設定する方もいますが、最初は一般的な9日にしておきましょう。このように変更できる数値を「パラメーター」と呼びます。併せて覚えておくと良いでしょう。なお、%Dで使う合計日数の3はそのまま使います。
スローストキャスティクス
ストキャスティクスにはもう一つ「スローストキャスティクス」というテクニカルチャートがあります。%Kと%Dでは反応が早く、ダマシの発生頻度も多い傾向にあります。そこで%Dよりもさらにゆっくりと反応するチャートスローストキャスティクスを使ってダマシを回避させます。スローストキャスティクスは「%SD」または「スロー%D」などとも表記されます。
計算式は下記の通りです。そして、実際のチャートでは下の画面(スマホ)のように表示されます。
スローストキャスティクス トレード例(豪ドル/円 1時間足)
実際にはどう売買判断をするのか見てみましょう。下のチャートは豪ドル/円1時間足チャートです。ストキャスティクスは日足以外の足でも使うことができます。一般的な売買ポイントは80%ラインよりも上で%Dが%SDを上から下に突き抜け(デッドクロス)80%ラインを割り込んだら売、または20%ラインよりも下で%Dが%SDを下から上に突き抜け(ゴールデンクロス)20%ラインを突き抜けたら買とされていますが、80%ラインというのはあくまで目安です。これらのデッドクロスが90%ラインよりも上で発生した場合やゴールデンクロスが10%ラインよりも下で発生した場合は、よりダマシの少ない(精度の高い)サインということになります。
下のチャートでは80%ラインよりも上でデッドクロスが発生したので80%ラインを割り込んだところで「新規売注文」を入れます。次に10%ラインよりも下でゴールデンクロスが発生しましたが、ここで注意が必要です。ストキャスティクスは一旦トレンドが発生すると、下降トレンドの場合は50%ラインよりも下側で小さな上下動を繰り返します。逆に上昇トレンドの場合は50%ラインよりも上側で小さな上下動を繰り返します。このようなトレンドが継続していると思われる場合は、移動平均線を表示させます。すると短期線、長期線とも下向きに推移しており、間隔も広がっているのがわかります。これは強い下げのサインです。したがってここではポジションをキープし、次に20%ラインよりも下で発生したゴールデンクロスの後20%ラインを突き抜けたところ(A)で決済の買い注文を入れます。
これでも十分利益はでますが、%K、%D、S%Dが50%ラインを超えてくると、トレンドの収束の兆しを示し、さらに%K、%D、S%Dが20%〜30%ラインから上昇し、70%〜80%ラインを超えてくるとより確かなトレンド収束のサインとなります。そこで、トレンド収束のサイン(B)を確認したうえで、次に表れたゴールデンクロス(C)で決済の買い注文を入れれば利益はさらに大きなものになります。
スローストキャスティクス トレード例(豪ドル/円 日足)
次の例は豪ドル/円日足チャートになります。こちらも下げ局面でのエントリーになります。チャート左の最後の上昇局面で%DとS%Dのデッドクロスが発生していますが、80%ラインを割らなかったので、次のデッドクロスの発生後、80%ラインを割り込んだところで新規の売注文を入れます。ローソクチャート上に表示させた移動平均線(短期線=10・長期線=20)のデッドクロスよりも早く反応が出ています。
20%ラインよりも下でゴールデンクロスが発生し、次に20%を突き抜けた(A)ので移動平均線を確認すると短期線、長期線とも下向きに推移。従って、トレンド継続と判断し、ポジションキープします。ただし、深追いせずに抑制したトレードが自分のトレードスタイルであれば、ここで決済の買い注文を出すのもありでしょう。
もし時間的にも追える状況であれば、そのままポジションをキープします。やがて%K、%D、%SDが50%ラインを超えてトレンド収束の兆しが見えてきたので、次の20%割れのサインを待ち、ゴールデンクロスの発生、そして20%ラインを超えたところ(B)で決済の買い注文を入れます。
スローストキャスティクス トレード例(ドル/円 日足)
スローストキャスティクスの最後にドル/円日足チャートを取り上げます。こちらは上昇局面でのエントリーチャンスを狙います。チャートはパソコン画面のものをお見せしましょう。基本的にはスマホと変わりませんが、設定の選択肢が多いことが大きな違いです。ここではスマホと同じ設定で表示させています。
買い注文を入れた後のストキャスティクスの動きを見てみましょう。最初に80%ラインを割り込んだ場面(A)では移動平均線が短期長期とも上昇しているので、ポジションキープします。次に80%ラインを割り込む場面(B)では2つの判断が出来ます。
- (1)移動平均線は引きつづき上昇しているので、ポジションキープ。
- (2)十分利益も出ているので一旦利益確定させる。
相場はテクニカルチャートの法則通りに動くとは限りません。そこで、チャレンジするのも戦略ですが、一旦利益確定させて気持ちを落ち着かせることも立派な戦略です。さてここでポジションキープした場合、%K、%D、%SDが50%ラインを割り込む場面があります。ここでトレンド収束の兆しが表れますので、次に80%ラインを割り込んだら(C)決済の売り注文を出します。
もしこの段階で「移動平均線はまだデッドクロスが発生していない」と判断した場合次に80%ラインを割り込んだところ(D)で決済売注文を出すという判断もできます。