FXのしくみと魅力をご紹介FXを始める方へ

どうすれば利益が出るの?

ここまで読み進んで、思ったように利益が上がらなかったという方もいるかもしれません。FXは常にリスクを伴う投資です。もちろん、株式投資や、投資信託のような金融商品も同様にリスクはあります。

では、どうやってリスクを回避し、より確かに利益を伸ばせるのでしょうか?ここからは、利益を伸ばす方法について詳しく説明していきたいと思います。

相場が動く背景をのぞいてみましょう

為替相場も株や日用品と同じように人気があれば値段が上がり、人気が無くなれば値段は下がる、需要と供給のバランスで決まります。
ではFXの場合、何をもって人気があったり無かったりするのでしょうか?そもそもFXは「誰が」「どんな目的で」取引をしているのか?そこにヒントがありそうです。

大きく分けるとそこには2つのグループが存在しています。「実需」と「投機筋」や「資本筋」と呼ばれるグループです。実需は商社やメーカーなどによる代金の支払いや請求のための取引です。そして投機筋は証券会社や銀行など、そして資本筋は保険や年金運用などで、この2つは純粋に利益を得るためだけの取引を行っています。投機筋は比較的短期的な取引が多いのが特徴です。それに対して年金基金や保険は比較的長期間に渡って運用することが多いので相場の大きな流れを作ると考えていいでしょう。

またヘッジファンド(※)と呼ばれる投機筋のトレーダーは短期間で売買を繰り返すので短期的な相場の動きは彼らが作っているとも言われています。しかしながら、為替相場で動いているお金はとてつもなく大きいのでだれかが相場をコントロールしようとして思い通りにコントロールできるようなものではありません。もっとも主要国通貨ではなく、途上国の通貨のように流通量が少ない場合はその限りではありません。

ヘッジファンドとは株式、債券、金融先物、商品先物、金融派生商品などに投資をする投資信託の一種。ヘッジ(hedge)とは回避するという意味で、相場の「リスクを回避する」に由来。

実需筋:貿易業者、製造業者(商社やメーカーなどによる代金の支払いや請求のための取引) 投機筋:ヘッジファンド、金融機関、個人投資家(証券会社や銀行など純粋に利益を得るためだけの取引:比較的短期の投資を行う) 資本筋:年金運用、生損保(保険や年金運用など純粋に利益を得るためだけの取引:比較的長期の投資を行う)

1日500兆円の巨大市場

とてつもなく大きなお金とは実際どのくらいでしょうか?世界の為替相場で取引される金額は「1日あたり約500兆円」(※国際決済銀行、2016年調べ)。これに対して日本の株の累計売買代金を見てみると、2018年度東証1部(立会内取引、概算)で「1年間641兆8436億円」でした。この2つの数字を比べれば、外国為替市場がいかに大きいかがわかると思います。するとどんなことが起こるかと言えば、株式市場では株の銘柄によっては、少しの売買でも株価を大きく動いてしまうことがあります。ところが外国為替市場ではよほど大きな売買をしたとしても、割合は小さくなるのでレートの動きは微々たるモノといっていいでしょう。

従って、FXでは株のように企業の業績や新製品の売れ行きのような情報を見て売買するよりも、相場の大きな流れ(トレンド)に乗って利益を出すことが基本的なトレードスタイルになるのです。もちろんそのトレンドは需要と供給のバランスによって形成されます。では、次にその需給バランスがどう形成されるのか、さらに詳しく見てみましょう。

株の売買代金は1年間約641兆8436億円なのに対してFXは1日約500兆円!

相場を予想するための2つの分析テクニック

為替相場で需給のバランスを決める要因の一つは経済的要因ですが、これを分析することを「ファンダメンタルズ分析」と言います。そして経済同様に大きな影響を及ぼすのが「政治的な要因」です。 紛争などに代表される地政学的リスク、または政変や国と国との関係などで、その国が今後安定するか不安定になるかによっても通貨が買われたり売られたりします。 多くの場合政界や財界の重要人物の発言がきっかけになることから、「要人発言」とも呼ばれます。

そしてもう一つが「過去の相場の値動き」からある法則を見出して今後の相場を予想する方法です。これを「テクニカル分析」と言います。
このテクニカル分析には数え切れないほどの種類がありますが、よく使われる「テクニカルチャート」は約10種類ぐらいで、 多くのトレーダーが同じチャートのサインを見て売買することが多いので、相場も必然的にそれらのチャートのサインに沿ったような動きをすることが多くなるというわけです。

テクニカルチャートには、相場のトレンドや勢いを見る「トレンド系」と、相場が売られ過ぎなのか、買われ過ぎなのかを見る「オシレーター系」があります。それぞれのカテゴリーから、特に人気のあるテクニカルチャートの使い方をいくつかご紹介しましょう。

先ずはファンダメンタルズ分析から見ていきます。

相場の分析方法一覧

ファンダメンタルズ分析

経済の基礎的条件を分析

  • 各国の政策金利
  • インフレ見通し
  • 景気動向
  • 貿易収支
  • 各経済指標 etc.
政治的要因
  • 地域紛争、政変 etc.
  • 要人発言(相場変動のきっかけ)
テクニカル分析

過去の相場の動きから法則を読み取り今後の相場の動きを予想する

トレンド系

  • 移動平均線
  • GMMA
  • 一目均衡表
  • ボリンジャーバンド
  • DMI
  • MACD
  • MACD バー
  • RCI etc.

オシレーター系

  • SMA
  • EMA
  • アルティメットオシレーター
  • ウィリアムズ%R
  • ウィリアムズA/D
  • ストキャスティクス
  • ピボット
  • RSI etc.

フォーメーション

  • ダブルトップ
  • トリプルトップ
  • ペナント
  • フラグ etc.

チャート分析

  • トレンドライン
  • サポート&レジスタンス

金利の高い通貨は買いか、売りか?

みなさんが預金をするとき、金利の高い銀行にお金を預けたいと思うのが普通ではないでしょうか。外貨もまた同じで、金利の低い通貨よりも金利の高い通貨を持ちたいと考えるのが普通です。そこで注目されるのが各国の中央銀行が発表する政策金利(※)です。下のグラフは円、米ドル、豪ドル、トルコリラの4通貨の政策金利をグラフで表したものです。

かつて高金利通貨として人気のあった豪ドルも2018年3月には米ドルと逆転しています。際だっているのが低金利の円に対して高金利のトルコリラです。2018年の4月と8月に大きく利上げをしたことがこのグラフから分かります。トルコは日本と同じように天然資源に乏しい国で、原材料や中間財を海外から輸入し、それを加工して輸出しています。しかし現在のところ、経常収支(※)の赤字とインフレが続いています。そこで金利を上げることによって外貨を呼び込み、トルコリラの流出を防ぐという金融政策をとっているわけです。そんなトルコですが、悪いことばかりではなく人口構成は日本と違って人口の42%が25歳以下(労働力人口)となっており、今後の経済成長が期待される面もあります。

長期的に見れば高金利によって「スワップポイント」が稼げる半面、短期的には通貨の下落によるリスクにも注意が必要です。従って、どの通貨ペアを選ぶかは投資のスタイルによっても判断が分かれるところです。

円、米ドル、豪ドル、トルコリラ通貨の政策金利

相場を動かす要人発言の威力

一方わずかであっても、利上げか利下げによって大きく買われたり、売られたりする場合もあります。最近ではアメリカが2016年12月から段階的に利上げを実施してきましたが、2018年末ごろになると利下げへと舵を切り始めました。相場の世界には「噂で買って事実で売れ」という言葉があります。これは「金利は下がるだろう」という発言や憶測がマーケット全体に広がると、実際に金利が下がる前の段階でも、「見込み」によって売買されます。そして現実に利下げが実施された時(または利上げが実施された時)にはすでに「折り込み済み」と判断され、マーケットは何も反応しないという現象です。このことがよく分かるのが次の米ドル円のチャートです。

現在でも基軸通貨とされ取引量も多く影響力の大きな通貨なので、事前予測も「いつ、何割の確率で、何%利下げされる」などと、細かな予想まで出されています。またFRB(米連邦準備理事会)議長の発言は影響力が大きく、時に相場を大きく動かします。下の図は2019年7月10日のドル円相場の15分足チャートです。これはパウエルFRB議長の議会証言により、ドルが大幅に売られた場面です。日本時間21:30の高値108.94円から15分で108.52円まで売られ、一旦は半値ほど戻した後再び売られ、翌11日の12:15には107.85円を付けて、ようやく反転しました。この発言による最大変動幅は1.09円ということになります。

パウエルFRB議長の議会証言により30分で動いたドル円の値幅は0.42円。翌日までに最大1.09円の下落

経済ニュースは何をチェックすればいいの?

FRB議長の議会証言のような大きなイベントは事前に発表日時が知らされています。しかしそれがどのくらい重要で、その内容をどう解釈したら良いのかが理解できるようになるまでには、ある程度経験が必要になります。かといって新聞やネットで情報を隅々までチェックするのは大変な作業です。 <そこで役立つのが「マーケット情報」です。

外為オンラインではFRB議長の議会証言のような「重要イベントの発表日時」や「経済指標の発表スケジュール」は元より、為替の専門家のレポートも無料で読むことができます。中でもシニア・アナリスト佐藤正和の「今日のアナリストレポート」は昨日の振り返りと今日注意すべき点が簡潔に分かりやすくまとまっているので、売買判断をする上でとても参考になります。読み続けることで、ファンダメンタルズ分析の力もついてくるはずです。

実際にパウエルFRB議長の議会証言の翌日の「今日のアナリストレポート」(佐藤正和)を一部ですが、見てみましょう。

マーケット情報

シニアアナリスト佐藤正和がお届けする「今日のアナリストレポート」

レポートより一部抜粋
〜注目された半期に一度のパウエル議長の議会証言では、米中通商協議の再開や、力強い6月の雇用統計を受けても米景気に対する見方は変わらず、議長は利下げを示唆しました。議長は、「貿易問題での緊張を巡る不確実性と、世界経済の強さに対する懸念が引き続き重しとなっている」と分析し、当局の見通しは変わらなかったと証言しました。

マーケットカレンダー

2019年7月10日のマーケットカレンダーの例

主要国の指標発表や重要イベントが発表時間など供に告知されされますので、事前に準備することができます。これは2019年7月10日にパウエルFRB議長の発言により相場が大きく動いたときの事前スケジュール告知です。

その時々の「相場のテーマ」をフォローする

相場に影響を及ぼすのは金利の他にも、その国の経済の強さを表すいくつかの指標があります。代表的なものにはGDP(国民総生産)や雇用統計、消費者動向、貿易収支などの他、株価、原油価格など様々です。当然のことながら、これらの数値が良ければ買われる原因となり、悪ければ売られる原因となります。ただしここで注意しなくてはならないのが、金利のところでも説明したように、「うわさで買って事実で売る」ということです。

次の「マーケットカレンダー」の項目を見てください。左から「時間・国」、「経済指標」、「前回」、「予想」、「結果」となっています。問題はこの最後の3項目です。例えば「マーケットカレンダー」の一番上の8:50に発表された「日銀短観」ですが、それぞれ予想を下回る結果となっています。しかしドル円の1時間足チャートを見るとマーケットはほとんど反応していないことが分かります。例えば「大企業製造業業況判断」は前回が12に対して予想は9でした。この数値が良くないのでマーケットは「円売」が優勢と考えます。そして実際に発表された数値は7でした。予想を下回る悪い数値だったので、マーケットは「ネガティブ・サプライズ」ととらえさらに「円は売られる」と考えます。しかし実際にはこの時期、投資家の関心は別のところに向かっていました。

【2019年7月】

2019年7月1日のマーケットカレンダーの例

前の週に大阪で行われたG20の中で行われた米中の首脳会談の結果です。世界中が固唾を呑んで見守っていた「米中貿易摩擦」ですが、会談の結果は「貿易協議の再開・継続で合意」そして「対中関税第4段は先送りを決定」というものでした。これはある程度織り込み済みでしたが、「ファーウェイへの部品輸出容認」と「米朝電撃会談」が「ポジティブ・サプライズ」となったこともあり、週明けの東京市場ではドルが大きく買われ、窓(※)を開けてのスタートとなったのです。そしてその後ファーウェイへの輸出はかなり制限されたものになるということが明確になるとそこからはまた徐々にドルが売られる展開へと動いていきました。このようなことからここでのテーマは「米中貿易摩擦」であることが分かります。

2019/6/29 5:00 107.81円 2019/7/1 7:00 108.19円 ギャップ=0.38円

「米中貿易摩擦」は普通のニュースでも流れますので、FXに関心のない方でも分かりますが、アメリカの金利政策のようなテーマになりますと、あまりニュースでは取り上げないので「アナリストレポート」のような情報が重宝します。

窓(ギャップ)とは、2つのローソク足の終値と始値の間の値段が飛び、間の開いた部分。

少額でのお取引は実効レバレッジが高くなりがちです。相場状況によっては当社に預託された金額を超える損失となる可能性もあります。

スワップポイントは各国の金利政策に合せて予告なく変更される場合もございます。
また各国の金利差が逆転した場合、スワップポイントの受取りから支払いに転じることがあります。

>> その他のリスク