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「トレンド」の見極め
トレンドライン
相場の動きを予想するために、テクニカルチャートが有効であることは間違いありませんが、相場を読む上で欠かせないもう一つの方法があります。それが「トレーダーが意識する価格」と「トレンド」です。よくニュースなどでも「ドルは110円を割り込みました」または「105円の壁は越えられませんでした」などということがあります。このような区切りのいい価格を「節目」などと言いますが、相場にはほかにもこのような「越えにくい壁」があります。
そして、もうひとつ相場分析で欠かせないのが「トレンド」の見極めです。一見すると複雑そうに見える相場も、大きく分ければ上昇トレンド、下降トレンド、横ばいトレンドの3つしかありません。現在どんなトレンドのどの辺りにいるのか分かれば、相場予想の精度も格段にあがってきます。そこでまず最初に、この「意識される価格」を探るために使われる「下値支持線」、「上値抵抗線」についてご説明します。
下値支持線(サポートライン)と上値抵抗線(レジスタンスライン)は「多くの相場参加者が意識する価格」によって形成されます。例えば上値抵抗線の場合、上昇している相場が、ある価格で跳ね返されて下降に転じたとします。その後下落してもう一度上昇し、同じ価格で跳ね返されたとします。すると、この次にまた下落して上昇したとしても、「またこの価格で跳ね返されるだろう」と多くの相場参加者は考え、この価格を意識するようになります。このようにして形成されるのが上値抵抗線です。
なお、この反発する回数が増えれば増えるほどこの価格を突き抜けて上昇するには大きな買い圧力が必要になります。下値支持線は逆に下値で反発されて、形成される線です。この上値抵抗線と下値支持線は「ある価格」ですから、当然水平線になります。多少の値の違いはありますが、近い価格です。
実際のチャートで確認してみましょう。下のドル/円週足チャートでは114.36円(2017年5月8日)〜114.73円(2017年11月6日)あたりが上値として上昇を阻んでいることが分かります。2017年5月8日から1年以上経過した2018年10月1日もこの上値をブレイク(突き抜けること)できなかったことがわかります。
次のトレンドラインですが、この線も上値抵抗線と下値支持線によって形成されますが、相場の上昇や下降などのトレンド(方向性)を探るため、水平線ではなく上昇していたり下降していたりします。まずは概念図から見てみましょう。
上昇トレンド
価格は常に上がったり下がったりを繰り返していますが、上昇トレンドの場合、上値と上値を線でつないでいくと、上昇する直線になります。この上値同士を結んだ線を「上値抵抗線」または「レジスタンスライン」と呼びます。
また、下値と下値をつないでいくと、こちらも上昇する直線が描かれます。こちらは「下値支持線」または「サポートライン」と呼ばれます。
また上昇トレンドのことをブル相場、ブルトレンドとも言います。
ブルとは雄牛のことで、雄牛は角を下から上へ突き上げることからそう呼ばれています。
横ばいトレンド
こちらの横ばいトレンドの場合、上値と上値を線でつないでいくと、水平な直線になります。こちらも上値同士を結んだ線を「上値抵抗線」または「レジスタンスライン」と呼びます。
また、下値と下値をつないでいくと、同様に水平な直線になります。この場合も「下値支持線」または「サポートライン」と呼ばれます。
またこの横ばいトレンドは同じレンジ(値幅)の間を上下するのでレンジ相場、またはその形が長方形の箱に似ていることからボックス相場などとも呼ばれます。
下降トレンド
次の相場は下降トレンドです。こちらも同様に上値と上値を線でつないでいくと、下降する直線になります。この上値同士を結んだ線を「上値抵抗線」または「レジスタンスライン」と呼びます。
また、下値と下値をつないでいくと、こちらも下降する直線が描かれます。こちらは「下値支持線」または「サポートライン」と呼ばれます。
また下降トレンドのことをベア相場、ベアトレンドとも言います。ベアは熊のことで、熊は腕を上からへ振り下ろすことからそう呼ばれています。
上昇相場のトレンドライン
実際のローソク足チャートにトレンドラインを引いて見ましょう。こちらはキウイ(ニュージーランドドル)/円の1時間足チャートです。上昇する前にややオーバーシュート気味に下ヒゲが伸びていますがほぼ平行線の間を上昇してます。トレンドラインの基本的な引き方はローソク足のヒゲの先(A)〜(B)、(C)〜(D)のように線で結びます。
そしてこのように上昇した場合、一旦サポートラインを割り込むと一気に下落する傾向があります。投資家も上昇がいつまでも続かないことは分かっていても、相場の参加者全員が足並みを揃えて上昇している時はその流れに乗り、できれば最後の高値までポジションキープして1銭でも多く、利益を得たいと考えます。そしてその均衡が崩れると、これまで持っていたポジションを一斉に売るわけです。このタイミングを見逃さずに決済の売り注文を出して利益を確保します。
または、新規の売注文を出すポイントにもなります。なお、トレンドラインはどのヒゲとどのヒゲを結ぶのか、人によって意見が分かれるのでバラツキはあります。
下落相場のトレンドライン
次のケースは豪ドル/米ドル6時間足チャートです。このケースのように価格が下がるに従って価格の振れ幅が広がることもあります。売りと買いのバランスが取れている時は振れ幅は安定しますが、買い注文を入れる投資家と売り注文を入れる投資家の目指している価格が違うと時間の経過と供に価格差が広がっていくこともあります。
ここでの売買ポイントは、左上の上昇トレンドが下降トレンドに入ったと判断できる「下値支持線を完全に抜けたところ」で新規の売注文を入れます。そして、右下の上値抵抗線を上抜いたところで、買の決済注文を入れます。
レンジ相場のトレンドライン
次のケースはドル/円の2時間足チャートです。通常レンジ相場の取引は下値支持線まで下がったところで買い、上値抵抗線にぶつかったら売ります。またそれと同時に新規売り注文を入れ、また下値支持線にぶつかったら決済の買い注文を入れます。そして、もし上値抵抗線を抜けた場合、今度はこの線が下値抵抗線として機能します。
下のチャートではレンジ相場が続きましたが、その後上値抵抗線を抜けたことが明確になった時点で新規の買い注文を入れるのが通常の戦略です。しかしここでは上値抵抗線は抜けたものの、2本目のローソク足は実体が短く下ヒゲがやや長い陽線を形成し、次には陰線がたて続けに形成されました。
そこで、下値支持線(元上値抵抗線)でも白い矢印のように反発せず下に抜けたら、下落トレンドに入ったと判断し、損切りの売注文を入れます。ここで損切りせず、もう少し様子を見てもう1本下の下値支持線で反発しなかったら損切りの売り注文を入れるというのも第2の戦略です。もちろんここまで来たら待ったなしの損切りをします。
トレンドの中のトレンド? どのトレンドでトレード?
実際のチャートに現れるトレンドを見て、何か気が付いたことはありませんか?
相場には大きなうねり(トレンド)がありますが、その中にも上下動があり、その中にさらに小さな上下動があります。ちょうど下の概念図のような動きです。短い時間の中では黄色い矢印が示したように、「上がったり下がったり」を繰り返していますが、やや長い期間を見るとオレンジ色の矢印で示した通り「下降トレンド」から「上昇トレンド」へとゆったり動いています。そして、更に長い期間を見ると赤い矢印が示すように「上昇トレンド」を描いていることが分かります。
このように相場を見る場合、時間軸によってトレンドが変わります。大事なのは自分がどの時間軸でトレードをしているのか見失わないことです。独自の「トレードスタイル」を守ることが大事です。一番良くないのは、小さなトレンドでトレードしてたけど、予想が外れたので、大きなトレンドで解釈して損切りポイントを変えてしまうことです。これが無理なレバレッジの原因になることはよくあります。
レードスタイルとは、主に時間軸によって分類されるのが一般的です。最も短いのは「スキャルピング」といい、数秒から1分ぐらいの間で売買を繰り返すスタイルです。次の「デイトレード」はデイ(1日)という言葉が表しているように1日の中で売買を完結させ、翌日にポジションを持ち越さないスタイルです。そして「スィングトレード」は、数日間で形成される相場の波を捉えて売買するスタイルです。
そして最も長いのが長期トレードで、数ヶ月か場合によっては数年にわたってポジションを持ち続けるトレードスタイルです。それぞれに一長一短ありますので、どれが一番よいかではなく、どれが一番自分に合っているかを確かめながら、自分自身のトレードスタイルを確率させるようにしましょう。